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ゲンジボタルの幼虫放流、その後
 └─多摩  2012/08/17

 以前の記事でお知らせした多摩動物公園での「ゲンジボタル幼虫放流」のその後を報告します。

「ゲンジボタル幼虫の試験放流」(2012年5月25日)

 2012年3月上旬に120匹放流したゲンジボタルの幼虫は、6月上旬から7月上旬にかけて50〜60匹が羽化しました。

 無事に羽化しても、水路周辺が照明で明るくて、ホタルの成虫が生息しにくい環境なので、分散してしまわないか心配でした。そこで事前に、夜間水路周辺の照明をすべて消灯してもらいました。

 日を追うごとに、羽化数が増えていきましたが、飛び去ることなく水路付近に留まっていました。オスがメスを探すため、集団で飛びながら、同時に明滅する姿は非常にきれいでした。

 7月上旬の交尾終了後、水路周辺の苔に産卵していないか確認に行きました。ホタルの卵は直径約2ミリで、非常に小さく、卵を見つけるのは簡単ではありません。そこでホタルが産卵しやすいような苔のついた石を水際にいくつか置き、成虫のメスがどこでよく光っているか確認しておきました。 しかし、卵は水際に置いた苔石には産卵されず、メスがよく光っていた水路から30〜50センチ離れた苔に産卵されていました。雨で水路が増水したとき、卵が流されてしまわないように、水際の苔石には産卵しなかったのかもしれません。

 7月中旬に卵を確認しにいくと、卵がなくなっていたので、無事に孵化したと思われます。孵化した幼虫が、無事に育ったことがわかるのは来年になります。ホタルが毎年飛び交う環境ができるように、継続した取り組みをおこなっている最中です。

写真上:ゲンジボタルのオス
写真中:水路周辺を飛び交うホタル
写真下:苔に産み付けられた卵

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 杉田務〕

(2012年08月17日)



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