ニュース
ランプフィッシュの卵を展示しています
 └─葛西  2012/05/11

 葛西臨海水族園世界の海エリアの「北海」水槽で、2012年4月25日からランプフィッシュの卵を展示しています。 

 ランプフィッシュは、ヨーロッパから北米東岸の冷たい海にすむダンゴウオのなかまです。このなかまでは最も大きく、体長50センチ以上にもなります。2月から5月が繁殖期にあたり、このころオスの体はオレンジ色の婚姻色になります。水族園では、2月より前にもこの婚姻色が見られた例もありました。

「ランプフィッシュの婚姻色」(2011年12月23日)

 野生でメスは岩陰などに産卵しますが、水槽内でもオスはメスに卵を産んでもらおうと、岩やパイプの表面などを掃除します。掃除した場所は自分のなわばりになり、近づいてきたほかのオスを追い払うような行動も見せます。一度の産卵で10万〜30万粒ほどの卵が生まれ、孵化するまでオスが守ります。

 現在展示されている卵は水族園生まれの個体が産んだもので、順調に育成できれば水族園生まれの三代目になります。

 野生では成熟するまでに3年ほどかかるといわれていますが、水族園の個体は生まれてから約1年半で卵を産みました。飼育水温が高いことや、安定して餌を食べられることにより、成長が早くなっていると考えられます。

 ところで、ランプフィッシュの卵はキャビアの代用品として、安価で手に入れることができます。キャビアはチョウザメの卵の塩漬けですが、チョウザメが減少傾向にあるため、本物のキャビアはとても高価です。そこで登場するのが代用魚の卵です。代用キャビアは本物と違い、黒く着色されているため、付け合わせの食材や食器に色が移ることで見分けがつきます。 

 実際に展示している卵は、もちろん着色していない自然の色をしています。ランプフィッシュの卵の色は個体により緑、茶、赤などの変異があるようで、水族園の卵はオレンジや黄色をしています。孵化するまでの数週間が展示期間になります。予備水槽の卵と交換して期間を延ばす予定ですが、とても短い展示になりますのでお早めにお越しください。

写真:ランプフィッシュの卵

〔葛西臨海水族園飼育展示係 細谷有莉紗〕

(2012年05月11日)



ページトップへ