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ランプフィッシュの婚姻色
 └─葛西  2011/12/23

 葛西臨海水族園世界の海エリアの「北海」水槽で展示している「ランプフィッシュ」は、北大西洋の冷たい海にくらし、体長約60センチメートルまで成長する大型のダンゴウオ科の魚で、別名「ヨコヅナダンゴウオ」と呼ばれています。
 ランプフィッシュの体は、ふだんは灰色がかった地味な色をしていますが、繁殖期を迎えると何匹かは色鮮やかなオレンジ色に変わってきます。
 オレンジ色をした個体は成熟が進んできたオスで、このような色合いを婚姻色(こんいんしょく)と呼びます。
 これまでにメスは、水槽のアクリルガラス近くのパイプなどに何回か卵を産みつけましたが、オスは繁殖期になると、卵を産んでもらいたい場所のまわりにいることが多く、そこに生えたコケを掃除したり、近づいてくるほかのオスを追いやったりするなどのなわばり行動を示します。

 ところで、ランプフィッシュの卵は、じつは日本でも食用として利用されており、高級食材であるキャビア(チョウザメの卵の塩漬け)の代用品として店頭に並んでいるのを目にすることがあります。ランプフィッシュの卵は白っぽい色をしているので、食材のキャビアに似せるため黒く着色して販売されています。値段の安いキャビアを見かけたら外箱や瓶底のラベルに「ランプフィッシュの卵」と書かれているか探してみてください。

写真:婚姻色になったランプフィッシュ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 笹沼伸一〕

(2011年12月23日)



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