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昆虫園の巨大生物シリーズ、その2「サカダチコノハナナフシ」
 └─多摩  2012/01/20

 今回は、先週紹介したオオコノハギスとともに導入した、サカダチコノハナナフシです。オオコノハギスとおなじくマレーシアなど東南アジアに生息する、比較的大型のナナフシのなかまです。

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 サカダチコノハナナフシは、体長が15センチ以上あり、現在昆虫園で展示している昆虫類では最大です(次点はヘラクレスオオカブト)。日本に住むナナフシといえば、細長い体で植物の枝に化けているちょっと弱々しい印象ですが、サカダチコノハナナフシは同じナナフシとは思えないほど、太く厚みのある体にトゲだらけの脚をもち、頑丈な体つきをしています。

 しかし、食べているものはさまざまな植物の葉で、ふだんは植物に化ける擬態をおこなっているため、ほとんど動かず、動作もゆっくりで、一見おとなしい昆虫に見えます。 

 そんな彼らも、外敵に襲われた場合は一転して非常に荒々しい行動を見せます。体の節をこすり合わせて「ギチギチギチ!」と音を出しながら背中を反らせ、後脚を大きく開いて振り上げるさまはなかなか威圧感があります。名前の「サカダチ」という単語は、このときの逆立ちしているような姿を表したものです。ただし、あまりに体を反らせ過ぎて、最終的にひっくり返ってしまう、ちょっと愛嬌のある個体も中にはいます。

 この威嚇状態のときに不用意に近づくと、そのトゲだらけの脚に挟まれ(しかも放してくれず)、かなり痛い思いをします。担当している外国産昆虫の痛さランキングでは、確実に上位に食い込める痛さです。掃除をしたり、餌の葉を替えたりするたびに必ず威嚇されるので、大きさのわりに臆病なのかも知れません。

 現在展示している個体はほとんどがメスで、上記の太く頑丈な体や、逆立ちのようなポーズでの威嚇は、じつはすべてメスの特徴です。オスも展示中ですが、オスはまるで正反対な体つきをしています。オスのようすはぜひ実際に見ていただいて、メスとのギャップを楽しんでいただければと思います。

写真上:トゲだらけの脚
写真中:厚みのあるメスの体
写真下:脚を上げて威嚇中

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 渡辺良平〕

(2012年01月20日)



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