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祝!世界自然遺産登録「小笠原現地レポート3」
 └─葛西  2011/07/08

 世界自然遺産への登録が決定した小笠原からの現地レポート第3弾をお送りします。小笠原で生物の採集をしている間に、数多くのアオウミガメに遭遇しました。そこで今回は、小笠原のアオウミガメについてご紹介します。

 父島の二見湾内では数十匹のアオウミガメを見かけました。ボートの上から見ると、水の中に直径1メートルほどの黒い影が漂っているように見えます。ボートのすぐ近くには寄ってきませんでしたが、水面から頭を出して呼吸をするようすを見ることができました。

 スキューバダイビング中には、海底でじっとしている1匹のアオウミガメを見つけ、近づいて観察することもできました。

 小笠原はアオウミガメの日本最大の繁殖地で、まさに今繁殖期を迎えています。幸運にも、滞在中に産卵の瞬間に立ち会うことができました。物音をたてたり懐中電灯で照らしたりすると、上陸したカメが驚いて産卵せずに海へ帰ってしまうこともあります。観察は、アオウミガメの調査・保護活動をおこなっている「小笠原海洋センター」の職員の方に案内していただきました。

 穴掘りをほぼ終えたカメの近くで静かに待っていると、いよいよ産卵が始まりました。卵は直径4~5センチメートルの球状で、ピンポン球のようでした。卵を産み始めると、思っていたよりも早いペースで次々に産卵し、10分程度で穴の中は卵でいっぱいになりました。1回で100個前後の卵を産み、1回の繁殖期に複数回産卵することもあります。産卵は例年8月中旬まで続きます。

 葛西臨海水族園の「東京の海」エリアでは、小笠原で保護されたアオウミガメを展示しています。毎年、その年に生まれたカメを2~3匹お借りし、約2年間育てて返しています。秋には、2011年生まれのアオウミガメが見られる予定です。

小笠原現地レポート1
小笠原現地レポート2

写真上:アオウミガメ
写真下:カメの産卵

〔葛西臨海水族園飼育展示係 小木曽正造〕

(201107月08日)



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