この原稿を書いている今、我々葛西臨海水族園調査係採集班はどこにいるかといいますと、念願の世界遺産登録で沸き返る小笠原に来ております。
まさしく現地レポートの今回、「お題をどうしようか?」と迷っていましたが、今回は我々が小笠原でぜひ見たいと思っていた生物のご紹介から始めましょう。
水族館の職員なので魚! といいたいところですが、それは小木曽隊員のレポート1に任せ、今日は雨の降り出しそうな夕方に出会ったオオヒキガエルの話です。
よく見るアズマヒキガエルよりも大型種で、模様もはっきりとしないカエルです。もともとこの島にはいなかったいわゆる「外来種」で、当時はさまざまな害虫駆除を目的として持ち込まれたカエルだそうです。しかしこのカエルは、在来の昆虫類を捕食してしまうことなどが問題になっており、現在では「特定外来生物」に指定され、駆除の対象となっています。
また皮膚から強力な毒を出すため、このカエルを捕食する鳥などにも影響がでるのではないかと心配もされています。
森ばかりのこの島で、外来生物駆除をおこなうのは本当に大変なことだと思いますが、ぜひがんばって取り組んでほしいと思います。と同時に、この島を訪れる立場の我々は、このような何の罪もないかわいそうな生物を生み出さないよう、細心の注意を払っての来島を心がけたいと思います。
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祝!世界自然遺産登録「小笠原現地レポート1」
写真:オオヒキガエル
〔葛西臨海水族園調査係 増渕和彦〕
(2011年07月01日)