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ツキノワグマの出産と死亡
 └─上野  2011/02/25

 こちらの記事でお知らせしたとおり、上野動物園ではニホンツキノワグマのメス2頭、クーとタロコが冬眠中。

 冬眠中の2011年2月14日、クーが2頭を出産しました!

 上野動物園でツキノワグマの冬眠展示開始後、出産が見られたのは今回が初めてです。タロコは非公開の寝室にいますが、クーがいる冬眠ブースのようすは、モニターカメラとマイクを通じて、来園者の方々もごらんになれます。子育てのようすや子の鳴き声を観察できるのは、世界でも珍しい展示です。

 冬眠中のようすはモニター映像を24時間継続録画して観察しています。出産前日、クーはそわそわして落ち着きがなくなり、それまで1日に22時間以上だった睡眠時間が、22時間を切りました。出産当日も落ち着きがなく、陰部を頻繁に舐めていました。

 出産直後、子の鳴き声を聞くことができましたが、授乳は確認できず。翌15日には、初めての授乳が見られました。

・出産後のクーと子のようすはこちらのモニター動画をどうぞ
 (左側が出産した部屋、右側に写っているのは隣室です)
 Windows Media形式 QuckTime形式、約1分

 クマは妊娠すると冬眠の状態が浅くなるといわれています。今年のクーは、出産するまで水を飲むことが多く、排尿も見られ、冬眠特有の姿勢で寝ることが少なく、やはり例年とはようすが違いました。こうした行動は、次回以降、出産の可能性を知る手がかりになると思います。

 ただし、残念ながら、出産当日に1頭が死亡、もう1頭も2月17日に死亡してしまいました。初産だったことも関係しているかもしれません。しかし、クーの出産を通じて、ツキノワグマの生態の一部が明らかになりました。きっとツキノワグマの保全にもつながるはずです。今年の経験を活かし、次回につなげていくつもりです。

・東京ズーネットBBの動画
 「ツキノワグマの冬眠展示」(2007年12月~2008年2月撮影)

写真:冬眠ブースの親子をモニターで確認

〔上野動物園東園飼育展示係 野島大貴〕

(2011年02月25日)



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