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ニホンアカガエルのオスとメス
 └─葛西  2011/02/11

 葛西臨海水族園では、淡水生物館でニホンアカガエルを展示しています。その繁殖期はふつう1月から3月で、水槽内でもそろそろ繁殖行動や産卵が見られるかもしれません。その前に、ニホンアカガエルのオスとメスの見分け方についてご紹介します。

 見分けるポイントはいくつかあります。1つ目は体の大きさです。ニホンアカガエルは成長すると、ふつうオスよりもメスのほうが大きくなります。しかし、年齢や個体で差があり、成長途中のカエルではわかりにくいこともあります。残念ながら、展示しているニホンアカガエルでは、大きさの違いはほとんどわかりません。

 次に鳴き声です。ニホンアカガエルは「キョッキョッキョッキョ」と、主に繁殖期にオスがメスを呼ぶために鳴きます。しかし、近くに人がいるせいか、水槽ではなかなか鳴いてくれません。鳴いていても、近づくと鳴きやんでしまうこともよくあります。

 そこで注目していただきたいのが前足です。オスの前足はメスの前足に比べてとても太くなっています。また親指の辺りに「婚姻瘤」(こんいんりゅう)とよばれるコブのようなものがあり、これがオスでは大きくふくらんでいます(写真下)。水槽でもこれらの特徴はよく見ることができます。

 交尾器のないカエルの受精は、オスがメスの背中に乗るような体勢でお互いの生殖器官を近づけ、体外受精によっておこなわれます(抱接)。このとき、オスは振り落とされないよう、太い前足でしっかりメスに抱きつきます。また、大きくふくらんだ婚姻瘤は表面がザラザラしているので、すべり止めの役割をはたします。

 水族園では、飼育下で2010年まで3年連続でニホンアカガエルが産卵していますので、2011年もまだかまだかと、毎日楽しみに水槽を観察しています。

・関連ニュース「カエルの産卵が始まりました!」

写真上:ニホンアカガエルのオス(手前)とメス(奥)
写真下:オスの婚姻瘤(こんいんりゅう)

〔葛西臨海水族園飼育展示係 小木曽正造〕

(2011年02月11日)



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