井の頭自然文化園で2010年12月7日から展示しているアズマヒキガエルが産卵を開始しましたが、その隣の水槽では、12月10日にニホンアカガエルが産卵しました(アズマヒキガエル産卵のニュースは
こちら)。
アズマヒキガエルの産卵はふつう2月から3月ころで、ニホンアカガエルの場合は、通常それよりやや早目の1月から2月ころのはずです。ただ、野外でも12月に産卵した記録はあるようです。
ニホンアカガエルの産卵の仕方や卵の形状には、アズマヒキガエルとは大きな違いがあります。まず、卵(卵塊)の形状が、ヒキガエルのなかまはところてんのようにつながった卵塊ですが、ニホンアカガエルは一つのボールのような塊になります。
また、アズマヒキガエルの場合は一つの産卵場所にいっせいに集まり、オスがメスを奪い合う「ガマ合戦」が昼夜を問わずおこなわれ、1週間ほど続きますが、ニホンアカガエルの場合は、オスがメスを奪い合うものの、産卵は夜間におこなわれ、一夜で終わってしまうこともあります。
カエルの産卵には、気候条件などが関係しているといわれていますが、室内の水槽の中で何がきっかけで開始するのかはわかりません。隣り合った水槽でそれぞれのカエルと卵塊をくらべてみるのも面白いかもしれません。
写真:ニホンアカガエルの卵塊
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 中村浩司〕
(2010年12月17日)