昨年(2009年)5月19日に多摩動物公園で誕生したグレビーシマウマの「ライム」(オス)が、今年の3月3日、千葉市動物公園に旅立ちました。
多摩動物公園でのグレビーシマウマの繁殖は10年ぶりでした。母親のライチは初産でもあり、担当者一同、ライムが無事育つよう、できるかぎりの準備をし、体制を整えて見守りました。
落ち着いてしっかりと子育てをする母親のもとで、ライムは元気に育ち、生後10か月たった今、目を見張るほどの成長ぶりです。
また、広いサバンナ放飼場で、ライムはお母さん以外のグレビーシマウマや、キリン、シロオリックスなど、たくさんの動物たちといっしょに生活してきました。いっぱい走ったり、たまに他の動物に近づきすぎてしかられてしまったり、じょうずな餌の食べ方を見つけたり、ライムなりにサバンナの中で経験を重ね、さまざまなことを学びながら成長しているようでした。
来園者の皆さんもライムの成長をあたたかく見守ってくださり、飼育担当者一同もうれしいかぎりでしたが、そろそろライムもオスのおとなのシマウマとして新たな生活を始めなくてはなりません。
グレビーシマウマは群れで生活します。メスは複数でいっしょにいられるのですが、おとなのオスどうしは、自分のこどもを残そうとして激しく争います。多摩動物公園には、ライムの他にノバータ、アンディというオスのシマウマがおり、ライチや他のメスたちとの新たな繁殖を計画しています。オスのライムは、その中でずっといっしょにいることはできません。また、血縁関係を考えた繁殖に取り組むことも必要です。
そこでライムは、新しいオスのシマウマを探していた千葉市動物公園へと旅立つことになりました。新しい場所にうまくなじみ、元気にくらしてほしいと願っています。そして、いつかお父さんになって、新しい命の誕生へとつながっていくことを期待しています。
写真上:ライム(左)と母親ライチ
写真中:ライムとシロオリックス
写真下:群れ入りしたライム
・東京ズーネットBBの動画
「
グレビーシマウマ『ライム』誕生」
(2009年05月20日撮影)
・ニュース
「
グレビーシマウマの『ライム』誕生」
(2009年05月30日)
「
シマウマ『ライム』の大放飼場デビュー」
(2009年09月25日)
〔多摩動物公園北園飼育展示係 松井由希子〕
(2010年03月12日)