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一足早いアズマヒキガエルのオタマジャクシ
 └─井の頭 2010/02/19

 こちらのニュースで、アズマヒキガエルが水槽で産卵したことをお知らせしました。2010年1月13日から17日にかけて産卵が見られ、1月21日には孵化が始まり、数百匹のオタマジャクシが順調に育っています。

 アズマヒキガエルの繁殖に成功したのは、動物園や水族館で初めてのことです。成功の要因として、アズマヒキガエルには集団で産卵する習性があり、水槽にはたくさんのカエル(26個体)がいたことや、オタマジャクシから育てたため雌雄がバランスよくいたこと、気温をなるべく下げて冬を感じさせたことなどがよかったのではないかと考えています。

 東京ではふつう2~3月に産卵し、5~6月には子ガエルになって陸上へ移動します。水槽で一足早く生まれたオタマジャクシがいつごろ子ガエルになるかはわかりませんが、子ガエルになると親ガエルといっしょに飼育できないので、別の水槽へ取り上げてしまいます。

 アズマヒキガエルは東京の街中でも見かけられるカエルです。ガマガエルといえばその姿を思い浮かべることができるでしょうか。産卵は、公園や学校、民家の池などでおこなわれます。各産卵場所では、周辺にくらすカエルが集まって、1週間ほどの短い期間に、うどんのように長く、つながった卵をいっせいに産みます。

 みなさんが目にする機会が多いのは、交通事故にあったカエルの姿ではないでしょうか。それは、とくに産卵期の2~3月に増えます。ふだんのすみかから産卵場所へ移動する途中や、産卵場所から帰る途中に事故にあってしまうのです。

 この時期、雨が降ってちょっと暖かさを感じるような夜は、カエルが産卵に出かける可能性が高くなります。自動車だけでなく、自転車に乗ったり歩いたりするときも、足もとのカエルに気をつけてください。

写真上:水槽内で育っている数100匹の
    オタマジャクシ(体長2~3センチ)
写真下:包接するヒキガエル

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 荒井寛〕

(2010年02月19日)



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