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ライチョウの換羽、その後
 └─上野  2009/09/25

 ライチョウの換羽が遅れていることをこちらのニュースでお伝えしましたが、その後、ようやく換羽が始まりましたのでお知らせします。

 ライチョウは細菌や寄生虫などによる感染症への抵抗力がないため、室内で飼育し、室内照明の点灯時間で日の長さを調整しています。昨年(2008年)、東京のこよみに合わせて点灯時間を設定したところ、白色の冬羽に変わりました。しかし、2009年5月を過ぎても、なかなか夏羽にならなかったのです。

 室内照明では換羽できないのか、冬羽のまま東京の夏を越せるのかと心配していたところ、6月に入ると頭部が茶黒色になり、7~8月には頭部から首、背中から尾羽にかけて茶褐色の羽が目立つようになってきました。

 照明時間は東京における毎月15日に合わせています。たとえば、6月15日の東京の日の出は4時25分、日の入は18時58分なので、4時30分~19時を室内照明時間帯としたところ、飼育しているオス2羽の換羽がほぼ同時に始まりました。スバールバルライチョウ(上野動物園で飼育しているライチョウの亜種)が夏羽に換わるためには、14時間以上の日長が必要のようです。

 今年もノルウェーのトロムソ大学から、共同研究のためにスバールバルライチョウの卵を譲っていただきました。2009年6月24日に87卵を搬入したところ、7月16日に47羽、17日には3羽、計50羽が孵化しました。9月現在、「日本の鳥I」の裏側とジャイアントパンダ舎の裏側で35羽を飼育しています。

 ライチョウは生まれた翌年から繁殖を開始します。昨年産まれのライチョウはオス2羽でしたが、来年は2008年と2009年に生まれた個体が繁殖期を迎えます。繁殖期までに換羽が終了しているよう、照明時間を調整する予定です。

〔上野動物園東園飼育展示係 高橋幸裕〕

(2009年09月25日)



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