ニュース
ライチョウのちょっと遅い衣替え
 └─上野  2009/06/12

 ライチョウは、初雪が降る季節から羽色が白色になり、雪解けとともに黒色や茶褐色に変わります。季節によって羽色が変化するのは、日本に生息するライチョウも上野で飼育しているライチョウの亜種(スバールバルライチョウ)も同じです。

 羽色が白色や褐色に変化するのは、季節によって羽が生えかわっているからです。羽が生えかわることを「換羽」といいますが、ライチョウの換羽は日の長さによって変わることが知られています。つまり、日長時間が長くなると夏の黒や褐色の羽が生え、短くなると白色の羽に変わるのです。

 上野動物園では2008年8月5日、2羽のオスのライチョウが孵化しました。ライチョウは細菌や寄生虫の感染症に抵抗力がないので、飼育はすべて室内で管理しています。飼育している室内には窓から自然光が入りますが、基本的に日長は室内の蛍光灯で調節しています。昨年(2008年)の秋から蛍光灯の点灯時間を東京のこよみに合わせて調節してみました。ノルウェーのスバールバル諸島に生息するライチョウを東京の日長時間に合わせ、蛍光灯の点灯時間を調節したのは、日長時間と換羽の関係を再確認したかったからです。

 孵化したばかりのライチョウは、ニワトリのひなのようにフワフワの「幼綿羽」をまとっています。「幼綿羽」から「幼羽」に変わり、約90日齢となった2009年11月には白色に変化しました。第1回の冬羽です。

 点灯時間の調節によって純白の白羽に変化させることはできました。白羽から第1回の夏羽への変化は、2009年5月、頭部に黒色の羽がまだらに生えることから始まりました。夏羽への変化が、日本に生息するライチョウにくらべて遅かったのは、点灯時間の不足が原因のようです。少し遅れながらも、現在、2羽は夏羽へと変化しているところです。

写真:冠羽は頭部から始まる(2009年6月2日撮影)

・ニュース「ライチョウ亜種の孵化に成功!
・東京ズーネットBB動画「ライチョウ公開!

〔上野動物園東園飼育展示係 高橋幸裕〕

(2009年06月12日)



ページトップへ