上野動物園の西園エリアの一角に位置する小獣館、その地下ではさまざまな夜行性の哺乳類を飼育しています。先月と先々月、フクロモモンガとフサオネズミカンガルーの繁殖をお伝えしましたが、その隣の小部屋でセバタンビヘラコウモリが子育て中です。
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セバタンビヘラコウモリ来園のニュース(2003年03月21日)
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セバタンビヘラコウモリがジュースを飲むようす
(動画、2003年03月)
飼育室内は暗くて見えづらいのですが、ここでも子どもが生まれ、現在子育て中です。セバタンビヘラコウモリ成獣の耳は、コウモリの一般的なイメージのとおり先がとがっていますが、子どものときは丸みを帯びた形をしています。
生まれてからまだ間もない小さい子どもは、母親のお腹にしっかりとしがみつきます。そして、母親は子どもをお腹につけたまま飛び回ります。いくら子どもが軽いとはいえ、かなりの飛翔能力です。
しかし先日、餌容器の下の地面に子どもが落ちているのを発見しました。母親がえさを食べるのに夢中になっているうちに、子どもはえさか何かにひっかかり、落ちてしまったようです。ガラスごしに観察していると、子どもはしきりに耳を動かしてあたりのようすを探っています。ガラスで隔てられているので声は聞こえませんが、どうやら母親を呼んでいるようです。心配でしたが、しばらくすると母親が降りてきて、子どもをお腹にしがみつかせて飛んでいきました。やれやれ、ひと安心です。
もう少し子どもが大きくなると、母親は子どもを天井や枝に置いて出かけます。こうなると親離れももうすぐです。
暗いので観察しづらいかもしれませんが、子どもがときどきひとりで天井からぶら下がっていることもあります。よ~く目をこらしてごらんください。
写真上:母親のお腹に子どもがしがみついています
写真中:ひとりでお留守番中
写真下:お母さんが帰ってきた!(子どもが母親の
お腹にしがみつこうとしています)
〔上野動物園西園飼育展示係 井上智右〕
(2009年07月03日)