「海洋研究開発機構」(JAMSTEC)の無人探査機 「ハイパードルフィン」を使った相模湾での深海調査。後編をお送りします(
前編はこちら)。
母船「なつしま」から海面におろされた「ハイパードルフィン」は、各種の機器が正常に動くことを確認した後、はるか 1,000メートル下の深海底に向けて潜航を始めます。わずか10分ちょっとで水深 200メートルを超え、太陽光のほとんど届かない深海の世界に入りました。
コントロールルームのモニターには、キラッと光る魚やさまざまな形のクラゲなどが一瞬映っては、視界の外に消えていきます。そして45分ほどで水深 1,234メートルの海底へ到達しました。
潜航場所は初島の直ぐそば、本州の熱海や伊東からもさほど離れていません。こんな場所に1,000mを超える深い海があるのも驚きですが、私が驚いたのはこんな深い海に意外なほど多くの生き物がいたことでした。
ハイパードルフィンが海底を移動しているあいだ、モニターに映し出される生物を書きとめていくのですが、そのメモが間に合わないほどさまざまな生物が見られました。シロウリガイやテングギンザメなど、多様な深海生物を撮影しながら、初島に向かって水深を浅くしていきます。
映像には水深 999メートルで発見したハオリムシの一種を「マニピュレーター」(遠隔操作装置)で採集するようすが映っています。ハイパードルフィンは潜航を始めてからおよそ9時間後、深海の貴重なサンプルとともに、母船「なつしま」に戻ってきました。
【動画:深海生物採集~浮上】
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QuickTime形式
*協力:独立行政法人海洋研究開発機構[JAMSTEC]
*私は2009年4月16日から、有人潜水調査船「しんかい6500」を使用した深海調査に参加します。おもしろい映像が撮れたら、ご紹介します!
写真上:ハオリムシの一種
写真下:母船に戻ってきたハイパードルフィン
〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕
(2009年04月10日)