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口之島牛の名前が決まりました
 └─上野  2008/12/12

 2008年11月21日、在来牛の一種「口之島牛」のメスが上野動物園の子ども動物園にやってきました。上野動物園で口之島牛を飼育するのは初めてです。在来牛とは、明治時代よりも前、日本で農耕などに使われていた牛のことです。

 口之島牛は、鹿児島県の口之島(トカラ列島北端)で野生化し、生きのびてきました。20世紀初頭に導入された後、野生化し、西洋品種の遺伝的影響をうけることなく、現在まで繁殖をつづけてきました。和牛の大半を占める黒毛和種(体重 450~700kg)にくらべると、とても小型(体重230~470kg)なのが特徴です。

 今回子ども動物園に仲間入りした口之島牛は、名古屋大学大学院生命農学研究科の附属施設「設楽フィールド」からやってきました。2008年4月20日生まれ、7か月のメスです。

 母親から離乳したばかりなので少し臆病なところもあります。担当者が掃除のために飼育施設の中に入ると、いつでも逃げられる態勢でこちらを見ています。人に興味があるのかな?と思い、姿勢を低くして近づいて行くと、一目散に逃げていきます。

 飼育担当者の手の匂いを嗅ぎにくることもありますが、その手から匂ってくるのは、ウマとブタとラマとヒヨコと担当者の昼食の匂い……。なんだかわけの分からない匂いに、彼女は引きつった顔で逃げていきます。

 でも、ニンジンだけは大好物。ニンジンなら手から食べてくれるのです。そのときだけはアゴを触らせてくれます。こちらも嬉しくなって触りすぎてしまうのですが、そうすると、いつもの引きつった表情を浮かべ、ニンジンも放り出し、逃げていってしまうのですが……。あせらず、少しずつ馴らしていくつもりです。

 子ども動物園での公開は11月23日でした。公開と同時に、11月29日まで、子牛の名前を募集していました。候補名の中から選んでいただく形式です。その結果、「桜」(さくら)に 228票、「琴」(こと)が 106票、「葵」(あおい)148票、「若菜」(わかな)100票でした。こうして、圧倒的な人気の「桜」に決定! 4月生まれですし、かわいらしい顔にぴったりの名前になりました。

 これからぐんぐん成長し、立派な口之島牛になってくれることでしょう。子ども動物園にお越しの際は、ぜひ口之島牛の「桜」に会いに来てください。

〔上野動物園子ども動物園係 橋川真弓〕

・ニュース「日本在来牛『口之島牛』公開!
・東京ズーネットBBの動画「在来牛『口之島牛』来園!

(2008年12月12日)



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