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日本在来牛「口之島牛」公開!
 └─上野  2008/11/21

 上野動物園では、日本の在来家畜の保護に力を入れています。また、在来家畜を紹介し、その状況を広く伝えることをめざしています。すでに在来馬3種類(トカラ馬、木曽馬、野間馬)と在来山羊(トカラヤギ)を、園内の子ども動物園で展示しています。

 さらに! 2008年10月31日には、在来牛のひとつ「口之島牛」(くちのしまうし)1頭が来園しました。11月23日(日)から、子ども動物園で公開します。

 来園したのは、2008年4月20日に生まれた7か月のメスの子牛。名古屋大学大学院生命農学研究科の附属施設「設楽フィールド」からやってきました。

 「在来牛」というのは、明治時代よりも前、日本で農耕などに使われていた牛のこと。現在、「和牛」と呼ばれる牛は在来牛ではなく、明治に入って西洋品種と在来牛を交配して作られた種類です。

 江戸時代の絵巻物や浮世絵に描かれた牛の絵を見ると、古来の在来牛は、白斑をもつ小型の牛だったと推測されます。たとえば、平治物語絵巻に描かれた牛車をひく牛にその特徴が見られます(写真下)。

 ちなみに、宮尾登美子さんの著書『天璋院篤姫』にも、孝明天皇の妹和宮輿入れの際、牛6頭のひく牛車が使われたことが書かれています。

 口之島牛は、鹿児島県の口之島(トカラ列島北端)で野生化し、生きのびてきた牛です。20世紀初頭に導入された後、野生化し、西洋品種の遺伝的影響をうけることなく、現在まで繁殖をつづけてきました。和牛の大半を占める黒毛和種にくらべると、晩熟で小型です(体長1.0~1.2メートル、体重230~470キログラム)。

◎名前を募集します!

 2008年11月23日(日・祝)~11月29日(土)、子ども動物園で口之島牛の名前を募集します。候補名の中から選んで投票してください! ちなみに、上野動物園に来園した個体は、おでこにハートマークの斑点があるのが特徴です。

写真上:上野動物園にやってきた口之島牛
写真下:『平治物語絵巻』より(「馬の博物館所蔵」)

名古屋大学大学院生命農学研究科付属施設「設楽フィールド」のサイト

口之島のある鹿児島県鹿児島市十島村のサイト

(2008年11月21日)



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