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マダガスカル野生動植物グループ(MFG)の年次会議に参加しました
 └─2017/10/27

 本日10月27日は「世界キツネザルの日」。キツネザルやマダガスカルの自然、その保全について多くの人に知っていただくことを目的として、国際自然保護連合(IUCN)の専門家プロジェクトが制定しました。

 先日私は、上野動物園が参加する「マダガスカル野生動植物グループ」(MFG)の年次会議に参加してきました。世界キツネザルの日に合わせて、会議のようすを簡単にご紹介します。

 会議が開かれたのはマダガスカルです。MFGの活動拠点である東部のトアマシナにあるイブルイナ動物公園で2017年7月5日から8日にかけて開催され、アメリカ、ヨーロッパ、台湾からの動植物園や研究機関の関係者も参加しました。

イブルイナ動物園
アカハラキツネザル

 イブルイナ動物公園はホテルからバスで約1時間の場所にあり、園内には動物園だけでなく植物の保全センターや現地の子どもや教員向けの環境教育のための施設も併設されています。動物園では、現地で保護されたキツネザルを中心に展示をおこない、計画的に繁殖を進めるとともに一部の動物は公園内に放し飼いにして管理されています。

 日本では見られないキツネザルの種が放し飼いにされていることに興奮したのはもちろんですが、ほぼすべてのケージ内にフィーダーやつり橋などのエンリッチメント設備が設置されており、現地スタッフも非常に熱心に取り組んでいるのが印象的でした。

教育センター
会議のようす

 現地開催ということもあり、会議ではマダガスカル国内での保全活動や環境教育活動、または大学や研究機関との連携プロジェクトについて、実際に現地で働くスタッフも交えて報告がおこなわれました。MFGはこのトアマシナに隣接するベタンポナ現生自然保護区だけでなく、その周辺の集落の人々と連携した活動にも取り組んでいます。会議には周辺の集落の首長も招き、現地の方とともに域内保全活動を進めていく積極的な姿勢を強く感じました。

 希少なキツネザルの保護はもちろん必要ですが、それを取り巻く自然、さらに現地の人々とその自然を持続的に利用しながら保護していくことが重要であることをあらためて実感しました。


「アイアイの森」に設置した、MFGの活動を紹介し、支援を呼びかけるパネル

 上野動物園では今年度、屋内施設「アイアイの森」でMFGの活動を紹介し、支援を呼びかけるパネルを設置しました。今回の会議の内容については、また機会をあらためてお伝えします。上野動物園にご来園の際は、キツネザルやアイアイの姿を見て、マダガスカルの自然とその保全について少しでも知っていただければと思います。

・関連記事「マダガスカルの自然を守るためMFGの活動にご協力ください」(2016年10月7日)

〔上野動物園西園飼育展示係 中村壮登〕

(2017年10月27日)


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