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モウコノウマ「フルール」成長記
 └─2008/07/18

 2008年6月1日の朝、モウコノウマ舎の室内をのぞくと、そこにはすでに体もすっかり乾き、起立して乳を飲んでいる仔馬のすがたがありました。前日の夕方までなんの兆候もなかったので驚きましたが、母親サーシャの出産はこれで4頭目。前回もいたって安産だったため、今回も安心してまかせていました。

 妊娠期間は最終交尾から数えて346日で、 現在多摩に2頭いる姉たちよりも少し長かったためか、体つきはしっかりしており、すぐにでも外に出せそうなくらいでした。結局、3日後の休園日に初めて放飼場に放しました。

 仔馬は母親に寄り添っていることがほとんどでしたが、ときどき跳ね回ることもありました。子どもが離れると、母親のサーシャは鼻を鳴らすような音を出して呼びよせているようでした。

 仔馬はメスで、「フルール」と名づけました。フルールはフランス語で花という意味です。

 母親のおっぱいをよく飲み、元気いっぱいなようすで放飼場を駆け回るフルールは、しばらくすると青草や乾草も1~2本口にするようになりました。初めは遊んでいるだけで、口には入っていないようでした。

 生後2週間ほど経ったころ、放飼場で母親のサーシャが糞をすると、フルールは離れて遊んでいても母親のとこにやってきて、その糞を口にしていました。これは、草の消化に必要な腸内細菌を、母親の糞を介して体内に取り込むためと考えられています。

 一ヶ月と少し経った先週、室内でフルールのものと思われる小さな糞を確認しました。ほぐしてみると草の繊維が出てきたので、きちんと消化できているようです。

 最近、隣の放飼場から姉たちの鳴き声が聞こえてくると、甲高い声でいなないたり、フルールは日々反応に変化を見せてくれます。今後の成長が楽しみです。現在、フルールは午前9時半から午前11時ごろまで公開しています。ぜひ会いに来てください!

・先月のニュース「4年ぶりにモウコノウマ誕生!

写真:親の糞を口にするフルール。こうして腸内細菌を取り込む

〔多摩動物公園南園飼育展示係 小林由里香〕

(2008年07月18日)



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