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チーター「ザオウ」の展示を約1年ぶりに再開
 └─ 2024/09/20
 2021年1月12日に多摩動物公園で生まれたチーターの「ザオウ」(オス)は、2023年8月11日から兄弟の「ホタカ」(オス)とともに公開を中止していましたが、2024年8月1日から展示を再開しました。


バックヤードの放飼場で休息している「ザオウ」

 ザオウは子どものときから跛行(はこう)がたびたび見られ、回復と再発を繰り返してきました。跛行とは痛みなどにより足に体重をかけるのを避けるために歩き方が不自然になることを指します。

 2023年4月ごろに再発した跛行が6月ごろから悪化し、回復の兆しが見られませんでした。展示している大放飼場の勾配が大きいことや段差の多いことが、悪化の原因のひとつとして考えられたので、勾配のないガラス放飼場に出してみました。しかし、ザオウが丸太の登り降りを繰り返してしまい、かえって足への負担が大きくなってしまったため、やむなく展示を中止することになりました。

 非展示の放飼場は平坦で段差のある構造物がないため、足への負担も少ないのです。室内は床がタイル面で少し滑りやすいため、藁を敷くなどして少しでも足への負担を減らす努力を続けました。

 バックヤードで管理することになってもザオウの症状はあまり変わりませんでした。エックス線検査でも特に異常は見られず、症状緩和の痛み止めを使用しても跛行は継続していました。足のために安静にしていてほしいのですが、ザオウとホタカは追いかけっこをしたり、隣の放飼場の個体を追いかけたり、楽しそうにすごしていました。

 しかし、2024年4月5日にホタカが急に体調を崩し、翌6日死亡しました。ホタカがいなくなってから、ザオウは寝室や非展示の放飼場でホタカを探すかのような声で鳴くことが続きましたが、徐々に鳴くことも収まりました。


麻酔下による検査のようす

 養生の効果があったのか、徐々に跛行が目立たなくなったため、7月の休園日から大放飼場に出す練習を開始しました。はじめは大放飼場の扉を開けてもすぐに移動せず、警戒したようすでゆっくりと出ていきましたが、放飼中は落ちついたようすで散策し、戻るときは特に問題なく部屋に帰ってきました。複数回の練習で展示場への出入りもスムーズになり、跛行も再発しなかったので8月1日から大放飼場での展示を再開することになりました。

 右前足肉球のけがの治療のため、8月26日から9月6日まで公開を中止していましたが、治療が終わり現在は展示を再開しています。チーターのザオウは日替わりで公開していますので、ご了承ください。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 前田〕

(2024年09月20日)



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