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ライオンを飼育するにあたって……
 └─ 2024/04/12
 ライオンは動物愛護法で特定動物に指定されるとても危険な動物です。そんなライオンを飼育するにあたり、多摩動物公園ではさまざまな安全対策をおこなっています。今回はそのなかでも特に重要な2点について、ご紹介します。

施錠確認

 ライオン舎はライオンがふだんすごしている寝室や運動場、ライオン用通路などライオンが使用する場所と、監視のための詰め所や飼育係用通路など飼育係が使用する場所に分かれています。

 ライオンを寝室から運動場など、ライオン用通路を通って移動させる際の前後には、必ずライオンが入ってくるところのすべての扉の南京錠が正常にかかっているか、当日出勤の班員全員で南京錠を触って確かめます。これは扉の施錠ミスから、飼育係とライオンが鉢合わせてしまうことを防ぐためにおこなっています。

 この施錠確認ですが、ライオンの出入扉や飼育係用扉すべてに1~2個ずつ南京錠がついているので、1回で確認する南京錠の数は、なんと63個もあります。運動場にライオンを移動させる以外にも寝室の清掃後やえさを与える際にもライオンを移動させるので、一日最大6回も施錠確認をしています。よって、一日に378個もの南京錠の施錠確認をしていることになります。この記事を書くにあたり、初めて南京錠の数を数えたのですが、こんなにもたくさんあるとは思いませんでした。しかし、この施錠確認を毎回おこなうことが、ライオンとの接触を防ぎ、動物たちの安全と飼育係自身の命を守ることにつながっているのです。


ライオンの寝室。飼育係用通路の足元、格子の下がライオン用通路

頭数確認

 現在、多摩動物公園ではオス5頭、メス11頭の計16頭のライオンを飼育しています。ライオンバスが走るライオン園には日替わりで6~7頭のライオンを展示していますが、非展示エリアにはそのほかのライオンが残っています。

 ライオンを夜間すごしていた寝室からそれぞれ昼にすごす場所に移動させ、頭数を数えます。ライオンがいるべき場所にいるべき頭数がいるか、移動のし忘れがないかを確認することで、その後おこなう寝室の清掃時にライオンと接触することがないようにします。また、ライオンを夜間すごす寝室に収容したあとにも、頭数を数えます。これにより、運動場にライオンが残っていないかを確認しています。

 施錠確認と頭数確認はライオンだけでなくほかの動物でも重要ですが、ライオンのような危険な動物では、万が一の事故が命に関わることなので特に注意しなければなりません。私はライオンの飼育担当になって一年が経ち、作業にだいぶ慣れてきましたが、初心を忘れず、これらの確認作業を今後も着実におこなっていきます。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 江口〕

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