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ライオンの「モルト」と「ルーク」の近況
 └─ 2021/10/15
 2021年7月7日にブリーディングローンにより富士自然動物公園(富士サファリパーク)から来園した2頭のオスのライオン「モルト」と「ルーク」の近況をお伝えします(来園のお知らせはこちら)。

 7月27日に獣舎での検疫が終了し、隔離スペースから一番奥の寝室に移動しました。

 2頭とも2018年生まれの血縁のない3歳の若オスですが、体格は立派で体重もすでに150㎏台にまで成長しています。しかし顔つきは若々しく、成獣になりかけの青年といった第一印象でした。

 来園当初、2頭の行動は慎重で、部屋間移動の際のシュート(動物を移動させるための通路)移動も慣れないためか途中でたびたび止まってしまい、なだめすかしてようやくといった状態でした。
 新しい環境にとまどっているのか、もともとの性格なのか、飼育係員を威嚇することもなく、与えられたえさはしっかり食べるものの、食物にあまり執着もしません。
 また、無駄に吼えることもなく、室内では安心するのか係員に寄ってきて柵越しに挨拶するなど、とても穏やかな性格に思えました。

 晴れて検疫も明け、まずはライオン舎に慣れてもらうため、午前中は非公開の小放飼場に出すことにしました。しかし、彼らの寝室から小放飼場までは長いシュートを通らねばなりません。ここでも少し進んでは停止を繰り返し、なかなかスムーズに進んではくれません。
 しかたなく、進んだ分だけ後方から落とし扉を閉めていき、トコロテン式に小放飼場に押し出しました。もっとも、シュートの両側にある寝室の檻越しに、先住の怖いメスたちが上方から興味津々に新入個体の動きを凝視していたのですから、若い2頭が萎縮してしまうのも無理ありません。

 しかし、ひとたび小放飼場に出てしまえばそこは遊び盛りの若獅子2頭。組んずほぐれつのレスリングをしたり、甘噛みをしあったり、飽きれば寄り添って休息するという、まるで兄弟のように仲のいいようすを見せてくれました。
 しだいに放飼場にも慣れ、行動も大胆になり、設置されたスノコの板を爪と牙で剥がす破壊工作を楽しみ出しました。また、小放飼場の天井から吊るした漁業用ブイにも、猫パンチを繰り出したり、跳びついて抱きかかえたりと良いおもちゃとして気に入ってもらえたようです。
 しかし、厚さ3cm強の杉板をバリバリに食いちぎったり、重さ3.4kgある固いブイにヘディングして弾き飛ばしたりと、さすがにライオン、猛獣らしさも見せてくれました。

 こうして徐々に環境に慣れてもらい、ゆくゆくは大放飼場(ライオン園)にもデビューして、その若々しい動きでご来園のみなさまに人気を博す日が来ることを、飼育担当者一同期待しています。


ブイにタックルしたり、抱きついたり、ヘディングしたり


【動画】ブイで遊ぶようす

〔多摩動物公園北園飼育展示係 山本〕

(2021年10月15日)



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