多摩動物公園の旧モウコノウマ舎には、2頭のグレビーシマウマがくらしています。サバンナエリアの改修工事で2頭がこの場所に引っ越してきてから4年以上が経ちました。
グレビーシマウマの飼育下での寿命は大体20歳前後といわれており、「ナギ」は25歳、「ライチ」は22歳と2頭ともおばあちゃんシマウマです。サバンナエリアでくらしていたころはキリンやシロオリックス、ダチョウ、ペリカンと広い放飼場で同居し、一日中動き回っていました。現在は同居する動物がいないため、2頭だけのゆったりとした隠居生活を送っています。
いっしょに採食
そんなおばあちゃんシマウマは最近、動き回るよりも静かにたたずんでいることが増え、なんだか動きもゆっくりになり、しかも小さな段差でつまずくことが目に見えて増えてきました。以前は硬いものをボリボリ食べることができていましたが、最近は軟らかいものを好み、食べ終わるのも時間がかかることもしばしばあります。みなさんの身近にいるご高齢の方はどうですか? ヒトも動物も年齢を重ねると同じなんですね。
家族の中に小さな子供や高齢者がいる方は、他の家族よりも特に気をつかうと思います。私たち飼育係も、担当動物に生まれたばかりの子供や高齢個体がいる場合の飼育管理には特に気をつかいます。ヒトは言葉を使って自分の気持ちを伝えられますが、動物は言葉を話すことができないだけでなく、弱っているのを隠そうともします。そのため、動物の動きから小さな変化を見逃さず行動を読み取るなど、日々の観察は大切な仕事のひとつです。
おばあちゃんシマウマの快適な隠居生活のため、これまで与えていた長い草は、食べやすいように細かく切ることで硬くて太い茎の部分まで残さず食べられるようになりました。季節に応じて暑さ寒さ対策もおこないます。また、400kgの体重を支える大切な4本の肢も、蹄が伸びぎてしまわないように定期的な削蹄(さくてい)をしています。
長い草を短くしました
群れでくらす動物は、仲間から1頭だけ離されることを警戒してストレスを感じてしまうため、いつまでも仲間とともにすごせる環境が大切です。2頭はいつでもいっしょに過ごしていて、削蹄のためにどちらかが部屋から居なくなってしまうと落ち着きをなくしてしまうほど、精神的にお互いが支えになっていると感じます。
これからの寒い季節は身体が冷えないように、また、心身ともに快適な生活を送れるよう一段と気を付け、長生きしてもらいたいです。
作業中の担当者をいっしょに覗き(監視?)に来る2頭
〔多摩動物公園北園飼育展示係 齊藤〕
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