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ひとりぐらしを終え、群れに戻ってきたキリンの「ジル」
 └─ 2021/08/27
 以前にお知らせしましたとおり、2021年1月1日からキリンのオス「ジル」を群れから隔離して1頭だけで飼育していました。寒い時期を過ぎて3月に入ると、小放飼場のそばに生えているシラカシなどの植物をもりもりと食べたり、大放飼場の近くまで来て群れのキリンたちとコミュニケーションをとろうとしたりするようすが見られました。

 このように悠々自適に1頭でくらしていたジルは、今年の4月中旬にキリンの群れに戻り、約3ヶ月半にわたるひとりぐらしが終わりを迎えました。

ひとりぐらし中のジル(いちばん左)と群れのキリンたち
(撮影日:2021年4月6日)
小放飼場沿いのシラカシを食べるジル
(撮影日:2021年4月9日)

 隔離をする直前は、いつも発情したメスを探しては追いかけ回し、それに伴い他の個体を威嚇して追い払う行動が頻発していたので、久々に群れに戻ったときにジルがどのような行動をとるのか、注意深く観察を続けていました。以前と変わらずメスの発情の確認はまめにおこなっていますが、他の個体への攻撃や威嚇はあまり見られなくなり、群れの一員として落ち着いてすごしているように見えます。特に、子どもに対する攻撃的な行動がほとんどなくなったので、小さな子どもたちは授乳をジルに邪魔されることがなく、安心してくらせるようになりました。ただ、「ユーカリ」という14歳のメスに対しては、追いかけたり軽くネッキングをしたりすることが時々あり、ユーカリの方もジルから逃げて距離を置いているようです。それでも、昨年のような強烈な攻撃は今のところなく、以前ほどの緊迫したようすはなくなりました。


最近のジル(左から3頭目)
(撮影日:2021年8月19日)

 多摩動物公園のサバンナでは、完成当初からキリンの群れのようすを見せることに主軸を置いて長年飼育・展示を続けているので、今回のようにキリンの成獣のオスを長期間単独で飼育したことは過去にほとんどありませんでした。このため、日々注意深く観察をして健康管理に臨みましたが、この間にジルは体調を崩すことがなく、毎日を穏やかにすごしていました。群れからいきなり離されたことをストレスに感じるのではないかと気になりましたが、心配するほどのようすは見られませんでした。日中は大放飼場のキリンたちがいつでも見えていたので、それがよかったのかもしれません。

 しばらく群れから離していたのが効いたのか、再び群れにもどってから4ヶ月近くたった今、ジルは大きなトラブルを起こすことなくおとなしくしてくれています。立派な体格を誇るジルですが、オスとしてまだまだ成長している最中です。この先も元気にたくましく育ってほしいですが、できれば今の落ち着いた状態のままくらしてほしいとも思っています。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 小森〕

(2021年08月27日)



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