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マレーバク「カナエ」の誕生
 └─2019/12/27

 多摩動物公園のマレーバクの「ユメ」が2019年11月27日、大きなメスの子どもを出産しました。「ケン」との間に生まれた子どもで、「カナエ」と名づけました。


生まれた翌日(2019年11月28日撮影)


ユメの得意な“腕枕”(2019年12月9日撮影)

 ユメにとっては3回目の子育てですが、前回出産したのは2017年10月。読者の方々の中には「ソラ」のことを覚えている方もいらっしゃると思います。ソラは元気に成長し、日々体の模様が変化していた生後約3か月の頃、急死してしまいました。ユメは突然子どもを失い、何日も鳴いて落ち着きなく動きまわり、ソラを探していました。その姿は今でも鮮明に憶えています。

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 じょうずに子どもの世話をしていたユメにいつかまた子育てをしてほしいと思い、ケンとの同居を再開したのが2018年の春でした。すぐに妊娠にはいたらなかったものの、2018年10月以降繁殖行動が見られなくなったため、2019年2月下旬、祈るような気持ちで超音波画像診断検査をしたところ、ユメのおなか新たな命が宿っていることが確認できました。

 妊娠がわかってからもユメはケンとなかよくしていたので、出産間際まで日中は同居させ、夜間は格子ごしに隣り合った部屋で過ごさせました。あまりに仲むつまじいので、擬人化してはいけないと思いつつも、ケンに立ち合い出産をさせたい気持ちでした。しかし、マレーバクは通常単独で生活をすると言われているので、出産の少し前から夜間は2頭を離し、ユメのために産室を準備しました。

 ユメの乳房の張り具合から出産まで秒読みだと感じた11月26日の夕方、担当者がユメの乳をしぼると黄色味を帯びた乳汁が出て、翌27日の朝には元気な子どもの誕生を確認しました。誕生翌日に体重を測ってみると11キロを超える超特大ベビーだとわかりました。お母さんのユメがかなり大きな体格なので、子どもも大きいのかもしれません。カナエは生後17日目には体重が20キロを超え、ぐんぐん大きくなっています。


哺乳のようすもよく見えます(2019年12月19日撮影)

 ユメと担当者の関係も良好です。そのおかげで妊娠から出産以降、私たちはユメからたくさんの科学的な知見を学んでいます。このデータはマレーバクの飼育に大きく役立つのは間違いありません。

 非常に落ち着いて余裕すら感じるユメの母親ぶりを安心して見守っていますが、それと同時にソラの分までカナエが元気で立派に育ってほしいという願う毎日です。みなさんもぜひカナエの成長をいっしょに見守ってください。カナエのうり坊模様の中にはハートマークが見えます。成長とともに消えていく期間限定のうり坊模様。ハートマークを見るにはお早めにお越しください!

〔多摩動物公園南園飼育展示係 齋藤麻里子〕

(2019年12月27日)


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