2017年10月26日、多摩動物公園のマレーバク舎で今年もまた「うり坊」が誕生しました(
お知らせ)。2007年以来のメスの誕生です。お母さんは「ユメ」(14歳)、お父さんは2011年に多摩で生まれた「ケン」です。ケンは今回初めてお父さんになりました。
昨年5月に「コウ」が誕生し(お母さんは「リザ」、お父さんは「ダイフク」)、次はユメとケンで新たな血統をと考え、2016年の夏頃から同居を試みました。とても相性の良かった2頭は9月に交尾が確認され、それ以降経過を観察してきました。
超音波画像診断装置を使って胎児の成長を記録(2017年7月16日)
昨年リザが妊娠したときには、体やお腹が大きくなっていくようすや乳房の張り具合を目安に出産兆候を見きわめました。今回はさらに、グルーミングブラシを使って全身をブラッシングされるのが大好きな性質を利用して、気持ちよくゴロンと横になってもらい、超音波画像診断装置を使ってユメのお腹の中にいる胎児の成長を複数回にわたり記録しました。
ユメは10月中旬からは乳房がふっくらしてきて、10月25日の夕方には乳が出るのを確認することができました。翌朝には生まれているかな?と赤ちゃんに会える楽しみと、無事に生まれるかという不安を抱えながら、その日は獣舎を後にしました。
腕枕(?)のように母親ユメの前足に体を乗せるソラ(2017年10月27日)
すると翌朝、ユメは立派に出産を終え、親子ともに元気な姿を見せてくれました。前日まで10月とは思えない冷え込みに加えて雨も降り続いていましたが、その日はきれいな青空が広がっていました。
マレーバクは生息数が少なく絶滅が危惧されている動物なので、新たな命の誕生はとても喜ばしいことです。私たちの夢が空いっぱいに広がるように!──そんな願いと生まれた日のきれいな空をイメージして、子どもは「ソラ」と名づけました。
11月15日には放飼場に出ました。水位は低いけれどプールデビューもして順調に成長しています。まだまだ寝ている時間が多いソラですが、開園時間中はいつでもごらんになれます。1歳半のコウもいまだ成長中です!
・関連ニュース「
マレーバク『コウ』の誕生」2016年6月10日
〔多摩動物公園南園飼育展示係 齋藤麻里子〕
(2017年12月01日)