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サーバルの双子「バズ」と「ニール」の一年
 └─ 2019/11/22

 多摩動物公園でサーバル双子、「バズ」と「ニール」が生まれてからまもなく1年。2頭の1年を振り返ります(誕生のお知らせはこちら)。

眠る「バズ」(生後28日)
興味深々の「ニール」(生後59日)

 昨年(2018年)、母親の「ユリ」に妊娠の可能性があると知った私たちは、ユリが落ち着いて出産できるよう、寝室に産箱やわらを設置。そして2018年11月28日、無事にユリの出産を確認することができました。

 出産直後のユリに刺激を与えないよう、生後2日まではカメラごしに観察し、生後3日目には2頭の子が動いているようすを初めて直接確認しました。落ち着いて子育てしているユリの姿は母親そのものでした。約2週間後に性別判定を行ったところ、2頭ともオスでした。

 2頭の成長はいちじるしく、日に日に産箱の外に積極的に出るようになり、室内を歩き回ります。生後1ヵ月もすると性格の違いが明らかになってきました。係員を見ると興味津々で寄ってくるのに、少しでも動くと驚いて逃げていく臆病なニール。一方、係員を気にせずに寝始めるマイペースなバズ。性格は正反対ですが、2頭はとても仲がよく、いつもいっしょに遊んでいました。

 生後1か月半になったころ、2頭を運動場に出しました。初日の1月16日、ユリはひさしぶりの屋外に喜んですぐに外に出て行ったので、バズとニールも後を追い、初めての運動場を探索していました。その翌日には一般公開が始まり、初日こそ人の多さに戸惑っていた2頭ですが、すぐに慣れて走り回ったりユリの尾にじゃれて遊んだり、元気な姿を見せてくれました。

 6月から、2頭はユリといっしょに「サーバルジャンプ」の練習を始めました。サーバルジャンプはケージの天井から肉を吊るし、それに向かってジャンプさせ、跳躍力とその行動を見ていただくプログラムです。

 初めのうちは上から降りてくる肉を怖がらないよう、すでに慣れているユリに跳んでもらい、この状況が恐いものではないことを覚えさせました。数回繰り返しただけで、吊された肉をユリが取ってくることを学んだバズは下で待ち受けるようになりましたが、ニールは臆病なせいか、係員が上に登ると驚いて放飼場の隅に逃げていました。それでも根気強く続けていくと少しずつ慣れ、今では怖がるようすは見せなくなりました。

 子どもたちの体格がユリと同じくらいになってきた10月5日、ユリに発情の徴候が見られました。ユリと子どもたちが交尾してしまうことを避けるため、すぐに親と子を分けました。

 10月末から子どもだけでジャンプの練習を始めました。最初はバズが1回だけ跳んだものの、肉を取ることはできませんでした。その次の練習では2頭とも数回ずつ跳び、肉を取ることができるようになりました。少しずつ成長し、ジャンプもうまくなってきた2頭。サーバルジャンプで活躍する日はそう遠くないかもしれません。

【動画】「ニール」のジャンプ

〔多摩動物公園北園飼育展示係 泉こはる〕

(2019年11月22日)


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