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少し不思議なキリンの子の角
 └─2018/12/21

 動物の中には角で自分の身を守ったり、闘争に角を使ったりする種類が知られています。キリンもそのような動物の一種です。

 キリンはオスもメスも角をもっています。角には骨からなる芯(前頭骨角突起)があり、それを皮膚が覆っています(オカピもこうした角をもつことが知られています)。

出産当日
生後8日目
角が立つ
生後1か月
角が伸びてきた
生後4か月
角らしく成長

 そんなキリンの角のうち、いちばん長い角(主角)はいつ頃生えてくるかご存知でしょうか? 生まれたときから生えているのでしょうか? それとも成長とともに生えてくるのでしょうか? 角をもつ他の動物、たとえばムフロンなどの場合、成長とともに伸びてきます(記事「ムフロンのツノはどうやって伸びる?」)。

 じつはキリンの主角は生まれたときから生えているのです。そして、キリンの角はシカなどの角とは違い、抜け落ちて生え替わったりはしません。そのため、折れてしまうと垂直の状態には戻らないようです。15年程前、多摩動物公園のキリンの中に角を骨折した個体がいましたが、折れた角は倒れたままになってしまいました。

 そこで疑問をもつ方がいらっしゃると思います。「角は出産の際に引っかかったりしないのだろうか?」と。ご安心ください。キリンが生まれるとき、角はなんと内側に倒れた状態になっているのです。

 倒れた角は柔らかく、しかも頭骨に固定されていないため不安定な状態です。その後、生まれて1週間程で垂直に立ち、さらに伸びていきます。そして成長とともに角と頭骨の間が骨化し、角と頭骨は一体化します。

 この現象はオスで顕著です。オスの場合、角と頭骨の間だけではなく、頭骨全体にカルシウムが付着して骨が成長し、おとなになるとオスはメスに比べるとゴツゴツとした顔になります。

 現在、多摩動物公園には7頭のキリンの子どもがいます。角が寝た状態の個体は残念ながらいませんが、倒れた角を想像しながらキリンの子どもと大人、そして角をもつ他の動物とを見比べてみてください。新しい発見があるかもしれません。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 森翔生〕

(2018年12月21日)


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