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“癒し系”(?)ヤギの「ダイズ」
 └─2017/12/28

 多摩動物公園に上野動物園からトカラヤギのオス「ダイズ」がやって来たのは、2015年3月のことでした。繁殖のために、血縁関係のないオス個体を上野から借りたのです。

 その後、いったん上野に戻ったダイズは2016年にふたたび多摩に来園。シフゾウ舎裏側にある非公開の予備放飼場で飼育を始め、約1年半が経ちました。そしてこのたび諸事情により公開放飼場に移ることになりました。

 ダイズは「種オス」つまり繁殖のためのオスです。繁殖を管理するためにも、ダイズをメスたちといっしょにすることはできません。そこで、ダイズは1頭でくらしています。

 ダイズが今いる放飼場はしばらく使われておらず、雑草が一面に生い茂っていました。これをダイズが食べてくれれば草刈りの手間が省ける……と淡い期待をしていたのですが、意外にも雑草はほとんど食べてくれず、結局自分で草刈りをすることになってしまいました。


 本来シフゾウのための放飼場なので、ダイズ1頭がくらすには十分すぎるほどの広さなのですが、私が作業のためにシフゾウ舎に行くと、毎回「メーメー」と鳴いて近づいてくるため、お腹がすいているのかと思ってえさを与えていたのですが、食べ終えても相変らずわらず鳴き続けるので少々閉口しています…。やはり1頭だけだと寂しいのかもしれません。

 多摩動物公園のヤギたちは計画的に繁殖させており、出産の時期をにらんでメス数頭を連れて来てダイズと同居させているので、ダイズのさびしい期間はしばらく続きそうです。

 観覧側からダイズまで少し距離があるため、その顔や表情はわかりにくいかもしれませんが、ダイズはなかなか愛嬌のある顔をしています。他のヤギとはちがって少し下あごが出ているためなのか、ふつうにしていても下の前歯がいつも出ています。

 えさを食べているときも、鳴いているときも、座って休みながら反芻しているときも、下の前歯が出ています。最近は朝晩寒いため、天気のいい日には放飼場で座り込み、寝ているダイズをよく見ますが、そんなときでも下前歯は出たままです。なかなか愛嬌のあるダイズの顔。“癒やし系”とでもいえる風貌ですが、種オスとしての活躍が期待されています。

◎関連ニュース
 「繁殖に向けてヤギの雌雄を同居させました」2015年5月22日(多摩)
 「トカラヤギのオスのための新展示場ができました!」2009年11月13日(上野)

〔多摩動物公園南園飼育展示係 横田利明〕

(2017年12月28日)


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