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ガンたちが水鳥池へ帰ってきました
 └─2017/04/21

 2017年4月3日のニュースでもお知らせしたとおり、4月5日、アフリカ園の旧類人猿舎から水鳥池にガンたちが帰ってきました。総勢90羽のガンの引越し当日のようすをお届けします。

 作業は開園時間の9時30分前から始めました。まず、ガンたちを避難させていた旧類人猿舎の放飼場の一角を網で囲い、その中へガンを誘導します。追い込んでいくと、前の個体に続いて囲いの中へとゆっくり行進していきました。そして、全個体が中に入ったことを確認してから出口をふさぎ、1羽ずつ網で捕まえていきました。

囲いの中のガンたち
個体識別をして健康状態をチェックする

 捕獲後、健康状態をチェックし、個体確認用の足のカラーリングが脱落していないかどうかを確認し、移動用の箱へと入れていきます。リングが取れていたり劣化したりしていたら、その場で新しいリングに交換します。ガンのなかまはオスがメスよりもやや体が大きいのですが、体の模様では区別がつかず、飼育係にとっても識別リングは重要です。

 4月に入って気温もあがってきたため、箱の中が暑くなりすぎないよう、一度に箱に収容する個体数は、ガンたちが余裕をもっていられる8羽程度にしました。定員に達したら移動用の箱を軽トラックに積みこみ、水鳥池へと運びます。この作業を繰り返し、10時すぎに引っ越しが無事終了しました。

 展示場に戻ったガンの多くは一目散に池へと向かっていき、水浴びや羽づくろいを熱心にしていました。その後、木陰で休息している姿や広い池で自由に泳ぐ姿が見られました。水浴び用の池は旧類人猿舎にもありましたが、水鳥池に比べると小さく、ガンたちは代わる代わる利用していました。水鳥池の大きな池で一羽一羽がそれぞれ自由に水浴びを行っている姿を見て、移動によって体調をくずした個体もいないことがわかり、ひとまず安心しました。


ペアで泳ぐサカツラガン

 春は鳥の繁殖の季節です。それはガンたちも同様です。今季は移動の影響もあり、環境に慣れる時間が必要なので、産卵までいたるかどうかわかりません。しかし、徐々にペアで行動する時間が増え、2羽でなかよく過ごしている姿が見られるようになると思います。ネットを張った影響で少し見づらくなりますが、古巣へと戻り、新たな生活を送るガンたちを水鳥池でごらんください。

〔多摩動物公園野生生物保全センター 阿尾佳美〕

(2017年04月21日)


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