多摩動物公園では現在5頭のハクビシンを飼育しています。ハクビシンはジャコウネコ科ハクビシン属の動物です。体に斑点や縞はありませんが、鼻先から額にかけて白い縞模様があり、これが和名「白鼻心」(はくびしん)の由来となりました。英語のmasked palm civet、つまり「マスクをした」ジャコウネコという名も特徴的な顔の模様を形容したものです。
ハクビシンはアジアに広く分布する動物です。日本にも生息しますが、アジア他地域からの外来種と考えられています。夜行性で食性は雑食。木登りも得意です。野生個体の寿命は10年程度で、飼育下では15~20年程度生きると言われています。
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ジロウ | タロウ(前)とフジ(後) |
多摩動物公園の5頭のハクビシンはみな高齢です。どの個体も保護された個体なので正確な年齢がわかりません。保護された年をもとに数えると、オスの「ジロウ」と「タロウ」は16歳以上、オスの「リュウ」とメスの「フジ」が19歳以上、そして最高齢のメスの「キョウコ」は21歳以上です。
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左からタロウ、フジ、リュウ | キョウコ |
タロウは喉のまわりに脂肪が多く蓄積していたり、キョウコの両目もほとんど見えておらず光を感じる程度です。高齢のためさまざまな症状が見られますが、みな元気に毎日を過ごしています。
偶数日にはキョウコ、奇数日には残りの4頭を展示場で公開してます。野生では冬ごもりはしませんが、飼育下では冬ごもりをする個体もいます。多摩動物公園ではキョウコが毎年冬ごもりをしています。冬ごもりはしないものの、秋は食欲が増す季節であり、多摩動物公園のハクビシンたちも丸々と太ってきました。春先にはほっそりとした体をしていますが、秋の今頃はぽっちゃりとした体つきです。
夜行性なので日中はほとんど活動せず、寝ていることがほとんどですが、日の落ち始める夕方には活動を始めます。高齢のため、以前は得意だった綱渡りなどもできなくりましたが、木の枝を軽やかに登る姿や、組み木を器用に渡る姿などは見られます。動きが少し鈍くなってきたものの、まだまだ元気いっぱいに長生きしてもらいたいものです。ぜひ、多摩動物公園の高齢ハクビシンたちに会いに来てください。
・これまでのニュース
「
ハクビシンの綱渡り」(2012年11月23日)
〔多摩動物公園南園飼育展示係 下重法子〕
(2016年11月25日)