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チーターの繁殖に向けて、オス2頭が富士サファリパークから来園
 └─2016/11/18

 多摩動物公園では現在、オス5頭メス5頭、計10頭のチーターを飼育しています。チーターは絶滅のおそれのある動物であり、多摩動物公園ではその繁殖に積極的に取り組んでいます。

 野生では繁殖のための相手を探して広い範囲を移動するチーターですが、動物園ではかぎられた場所でくらし、かぎられた相手と繁殖をおこなうことになります。その結果、雌雄が同居した際の出会いの刺激が弱くなっていくのか、最近は繁殖が停滞していました。

 こうした際、繁殖を目的として動物園間で動物の貸し借りをする取り組み、それが「ブリーディングローン」です。今回、多摩動物公園は富士サファリパークと協力し合い、チーターのブリーディングローンに取り組むことになりました。富士サファリパークとは以前もメスの貸し借りをおこない、繁殖に繋がった前例があります。そこで今回、ブリーディングローン契約にもとづいてオスを移動させ、ふたたび出会いの刺激を与えることにしました。

・ニュース
繁殖を目指してチーターを富士サファリパークと交換します」(2016年10月13日)
  ※ナガトとムツの来園、カイとカケルの出発
チーター3頭が山口に移動します」(2015年2月26日)※サツキ、ファング、フェイの出発
チーター2頭がやってきます!」(2014年11月10日)※デュラとシュパーブの来園

 2016年10月19日、多摩動物公園で生まれたのオスの兄弟「カイ」と「カケル」を送り出し、富士サファリパークから九州自然動物公園生まれのオス兄弟「ナガト」と「ムツ」を借り受けました。ナガトとムツは部屋に入ると多少戸惑ったようすを見せましたが、飼育係に対して警戒する行動もなく、すぐに落ち着きました。

オス「ナガト」
オス「ムツ」

 ナガトとムツが初めて放飼場に出たのは飼育係が2頭の識別をできるようになった来園後3日目でした。まず、チーター舎の裏にある人目のない放飼場で新しい環境に慣らし、来園後1週間経った頃に表の放飼場への出入りを練習させました。2頭とも物怖じすることなく、放飼場の他の個体の匂いをチェックしていました。


放飼場の匂いをチェックするナガトとムツ

 そして、来園10日目を迎えたころ、メスの発情を嗅ぎ取ったときに出すような鳴き声が聞こえたので、もしかしたらと思い、4頭のメスと格子越しに顔合わせをしてみました。雌雄の反応を見て、反応があった2頭のメスと同居させましたが、交尾にはいたりませんでした。

 その数日後、今度はメスの「シュパーブ」に発情らしき行動が見られたため、顔合わせ後に同居をさせたところ、最初はシュパーブがムツを攻撃しましたが、ムツは繁殖の経験があるためか、あわてることなくメスと絶妙な距離を保ちつつ追尾し、無事交尾することができました。妊娠しているかどうかまだわかりませんが、今後に期待しています。

・関連ニュース
チーターの姉妹『デュラ』と『シュパーブ』を単独飼育に」(2015年9月29日)

〔多摩動物公園北園飼育展示係 新崎慶太〕

(2016年11月18日)


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