葛西臨海水族園にはさまざまな色の魚がいます。生きものの色にはいろいろな意味があると言われますが、周りの景色に溶け込んで敵から見つかりにくくするのもその一つです。
たとえば、砂の上に隠れるカレイのなかまは砂とそっくりな色と模様をしています。一方でサンゴ礁にくらす魚は青や黄色などカラフルで色鮮やかなものが多いのですが、これも明るい光がさしこむサンゴ礁の景色に溶け込むにはぴったりの色なのです。
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砂に隠れるプレイス(カレイのなかま) | サンゴ礁でくらすキイロハギ |
ぜひ水槽ごとに魚と周りの景色を見比べてみてください。さまざまな体の色によってうまく隠れている魚を見ることができます。
さて、これらをふまえて「世界の海」エリア「深海の生物3」水槽を見に行きましょう。なかには暗い深海に溶け込むような黒っぽい体色の魚もいますが、キンメダイやアカムツ、ユメカサゴといった赤い体色の魚も多く、目を引きます。こんな派手な色では海の中で目立ってしまいそうですよね。ところが、深海では赤色が目立たないのです。
深海でくらすキンメダイ
太陽の光は私たちの目には白っぽく見えますが、赤、黄、緑、青、紫など、さまざまな色の光でできています。光は水に吸収されるため、海の中では深くにいけばいくほど見える光の色が減っていきます。青色の光は海の深くまで届きますが、赤色の光は浅い所で吸収されてしまいます。
赤色の光が吸収された深海では、赤色が黒っぽく見え、キンメダイのような赤い体色の魚は周りの暗さに溶け込んで目立たなくなるのです。一見すると目立ってしまい不自然なようにみえる赤色も深海でのくらしに合った色なのかもしれません。
青いフィルムを使って、青色以外の光が吸収された深海での色の見え方を実験
キンメダイとキイロハギの色はどう変わる?
水族園にお越しの際は、魚の色にも注目してみてください。どうしてそのような色なのか、色の意味を推理しながら観察してみると、きっとまたおもしろい発見があるはずです!
現在、水族園では深海の魅力を伝える
「Deep of Wonder-不思議な深海の生き物たち」を開催しています。みなさまのご来園をお待ちしています。
〔葛西臨海水族園教育普及係 佐藤まなみ〕
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