葛西臨海水族園の世界の海エリア「インド洋2」水槽では、岩そっくりに擬態したオニダルマオコゼを展示しています(
オニダルマオコゼの見事な擬態についてはこちら)。
また、水面近くにケースを設置し、新たにハナオコゼを展示しました。ホンダワラの擬海藻に見事に擬態しているので、探してみてください。
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インド洋2の水槽全景 | ハナオコゼ |
ハナオコゼは、名前に「オコゼ」と入っていますが、オニダルマオコゼと同じ科の魚ではなく、アンコウ目カエルアンコウ科というグループの魚です。
カエルアンコウのなかまの多くは、海底の岩やカイメンなどに擬態をしていますが、ハナオコゼは、ちぎれて海面を漂う海藻「流れ藻」をすみかとしています。流れ藻は、ブリなどの幼魚や小さな甲殻類など、さまざまな生きものがすみかとして利用しており、ハナオコゼはこれらをえさにしています。
ハナオコゼの黄土色の体色と不規則な黒色の模様が迷彩模様のようにはたらき、えさとなる生き物や、天敵となる海鳥たちから気付かれにくい利点があります。
水槽でも、飼育係ですら見つけられないときがあるほど、上手に擬態するようすを観察することができます。そして、えさを食べるときは、口元にえさが来るまでじっと待ち続け、近くに来ると一瞬で丸飲みにします。その姿はオニダルマオコゼにそっくりです。
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岩に擬態するオニダルマオコゼ | 胸ビレを器用に使っているとき |
ふだんは泳ぎまわることはなく、胸ビレや腹ビレを手足のように器用に使い、とてもゆっくりではありますが、まるでジャングルジムで遊ぶかのように流れ藻のなかを移動します。
水槽では、底で岩に擬態するオニダルマオコゼと、水面近くで海藻に擬態するハナオコゼの両種をじっくり比較して観察できるので、擬態の仕方を比べてみてください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 戸田遥香〕
(2022年12月16日)