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擬態の名人──オニダルマオコゼ
 └─ 2021/07/30
 葛西臨海水族園「世界の海」エリア「インド洋2」の水槽をのぞくと、ニセゴイシウツボやアカシマシラヒゲエビが見られますが、実は他にも魚がいます。では、次の写真からその魚を探してみましょう。


「インド洋2」の水槽

 この写真の中に、3尾のオニダルマオコゼがいます。

 オニダルマオコゼは、英名でStone fish(ストーンフィッシュ)=「岩のような魚」と呼ばれています。その名のとおり、ずんぐりとした体型、ゴツゴツした体表、茶色や灰色の中に黄色やオレンジなどの斑点が散りばめられた体色をしていて、まさに海底の岩そのものです。オニダルマオコゼは岩まじりのサンゴ礁や砂地に生息しているため、この体を利用して岩に擬態したり砂に潜ったりして周りの環境に溶け込みます。そして、えさとなる小魚や甲殻類が自分の口のそばにやってくるのをじっと待ち続けます。実際に私たち飼育係でも、水槽内でオニダルマオコゼが泳いでいる姿をあまり見たことがありません。

 そんなオニダルマオコゼでも俊敏に動くときがあります。それはえさを食べるときです! 海では口のそばに来た獲物を丸呑みにしますが、水槽でもえさのアジやイカを口元に持っていくとガバッと大きな口を開けて一瞬で丸呑みにします。一日中じっと動かず、ぼーっとしているように見えるので、その瞬発力は驚くほどです。

 そんなオニダルマオコゼですが、毎日見ている飼育係ですら、すぐに見つけることができない日があります。擬岩のくぼみに挟まって岩になりきったり、砂に潜って目だけ出したりとさまざまな技を観察することができます。みなさんも水族園にお越しになった際は、ぜひ水槽内のオニダルマオコゼを探してみてください。


オニダルマオコゼはここにいます

◎関連動画:オニダルマオコゼの捕食(葛西臨海水族園公式ツイッター)

〔葛西臨海水族園飼育展示係 戸田遥香〕

(2021年07月30日)



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