昨年(2020年)2月末に園内でイベントが実施できなくなってから1年以上が過ぎました。そこで、葛西臨海水族園に来られなくても楽しめるイベントを企画し、水槽のようすをライブ配信したり、遠隔地を結んだオンライン講演会をおこなったりしています。その一例として、6歳児向けプログラム「進め!海のいきものたち サカナのヒミツみっけ!」を紹介します。
例年の「進め!海のいきものたち」は、干潟探検や園内での生き物観察を中心とした体験プログラムを実施していました(
以前のお知らせ)。今回は初めてのオンライン実施。遠隔であっても何かを体験してほしいと考え、参加者には丸のままのマアジを用意してもらい、触って観察しながら魚のヒミツ(体のつくり)を学ぶプログラムにしました。
実際にプログラムをやってみると、マアジの口を開けてみたり、おしりの穴を探してみたり、興味津々な参加者のようすがモニター越しに伝わってきました。また、マアジと自分たちの体のつくりを比較することで、魚類がいかにして水中環境へ適応しているのか感じてもらうことができたのではないかと思います。事後アンケートから、魚を観察するだけでなく自分たちでさばいて美味しく食べるという体験にもつながったことがうかがえました。
マアジの標本や動画を使って解説
これまでにさまざまなオンラインイベントを実施し、画面越しではどうしても双方向性に欠け、細やかな対応が難しいといった課題がありました。一方でよかった点もたくさんありました。たとえば、これまで参加が難しかった遠方の方にも気軽に参加していただけたり、自分の家でリラックスしながら学べたり、などです。イベントに参加してみて水族園に行ってみたくなった、という感想もたくさんいただきました。水族園スタッフとしては本物を見ていただきたいという気持ちもありますが、オンラインイベントを通して今までよりも多くの方々を水族園やフィールドへいざなうことができる可能性を感じています。
新しい形の教育普及活動に取り組みつつ、水族園でみなさんにお会いできる日を心待ちにしています。開園したおりには、お近くの方も遠方の方もぜひお越しください。
〔葛西臨海水族園教育普及係 田中隼人〕
(2021年04月23日)