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「カナダ西岸」水槽のニューフェイス! ピュージェットサウンドロックフィッシュ
 └─2019/12/06

 飼育係をしていると「水槽を見ている方々の反応」が非常に気になるものです。それが自分の担当水槽となるとなおのことです。葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「カナダ西岸」水槽の前でときどき聞こえていたのが「魚はどこだろう?」という声……。

 いえいえ。この水槽は一見生き物が少なく見えますが、カナダ西岸の岩場にすむ魅力的な生き物たちがたくさん展示されています。ピンク色の小さなイソギンチャクのなかまのストロベリーアネモネや、カメノテのなかまのグースネックバーナクルをはじめとする無脊椎動物、岩のくぼみにぴったりはりつくセイルフィンスカルピン、岩礁にまぎれこむような色や模様をしたストライプトケルプフィッシュなど、さまざまな生き物を探して楽しめる水槽なのです。


岩にぴったりとはりつくセイルフィンスカルピン

 でも、動き回らずじっとしている生き物が多いので水槽内の動きが少なくさみしい印象になってしまうというのが悩みの種でした。そこで、新たに展示する魚を検討することになりました。

 展示生物を選ぶときは、水槽の大きさや展示テーマ、同居する生物との相性などを考えます。今回はカナダ西岸の岩場がテーマです。その地帯の中層を泳ぐような魚で多く見られる代表的なものは、メバルのなかまやウミタナゴのなかま。ここからスタートして、展示水槽の大きさを考慮し、成長しても全長15センチほどの種を探した結果、今回展示することになったのが、ピュージェットサウンドロックフィッシュです。


ピュージェットサウンドロックフィッシュ

ピュージェットサウンドロックフィッシュは、アラスカからカルフォルニア北部にかけての岩礁地帯に生息するメバルのなかまで、全長が最大18センチほどにしかならない小型の種です。収集を担当するスタッフがカナダの現地へおもむき、実際の環境の雰囲気や条件に合うかどうかを最終確認してから採集しました。

 いざ水槽で展示してみると、初めは岩陰に隠れてあまり姿を見せなかったので不安が頭をよぎりました。しかしえさを与えるとすぐに気づいて食べ始め、やがて水槽にも慣れて中層を泳ぐ時間が増えていきました。

 こうして無事展示に仲間入りしたピュージェットサウンドロックフィッシュは、赤みがかった体色と真っ黒な目が特徴的で水槽ではよく目立ちます。水槽をにぎわす新顔にご注目ください! さらに、水槽のすみずみにも目を向けて、じっくりと水槽観察を楽しんでください。

関連記事:
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 ・「立派な帆をもつセイルフィンスカルピン」(2018年1月5日)

〔葛西臨海水族園飼育展示係 石神まゆか〕

(2019年12月06日)


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