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同じ魚には見えない──カンムリベラの幼魚と成魚
 └─2018/11/23

 葛西臨海水族園の「東京の海」エリアにある「小笠原の海4」水槽で悠々と泳ぐ青い体の魚1尾──これがカンムリベラです。水槽内でいちばん大きな魚なので、すぐに見つけることができるでしょう。

 カンムリベラについては以前にも、記事「カンムリベラのここに注目!」で紹介しました。日本では相模湾以南に分布し、小笠原の海では潜水すると必ずといっていいほどよく出会うおなじみの魚です。前に突き出た頭が特徴で、目玉をぎょろぎょろと動かしながら泳ぐ姿はこちらを伺っているようで、なんとも愛嬌があります。


カンムリベラの成魚

 ベラ科の中でもとくに大型になる種で、成長すると全長が1メートルを超えると言われています。水槽にいるのは全長45センチほどで1メートルにはおよびませんが、それでも立派な成魚です。

 幼魚のときはさぞかし愛嬌があるのだろうと考えるところですが、成魚とはまるで別の魚に見えるほど、色もかたちも異なります。幼魚は「東京の海」エリアの特設展示会場で、2018年11月1日から開催している特設展「海のゆりかご」で見られます。水槽の中をひらひらと泳ぐ全長が10センチくらいの個体ですが、青くて頭が突き出ている…のはあくまで成魚の特徴。白い体に朱色の斑紋、頭部にゴマ模様のあるのがカンムリベラの幼魚です。


カンムリベラの幼魚

 なぜ、これほどまでに姿が違うのでしょうか。カンムリベラにかぎらず、ベラのなかまは幼魚の時期と成魚の時期で違った色彩をしているものが多く知られています。その理由は諸説ありますが、成魚どうしの縄張り争いに巻き込まれないよう、まったく別の魚のふりをしているのではないかとも言われています。

 こんなに違うのに、ほんとに同じ魚なの?と疑っている方、「小笠原の海4」水槽と「海のゆりかご」の水槽でじっくりと見比べてみてください。もしかしたら共通点を発見できるかもしれません。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 中沢純一〕

(2018年11月23日)


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