ニュース
カンムリベラのここに注目!
 └─2017/10/13

 葛西臨海水族園「東京の海」エリアにある「小笠原の海4」水槽は、このエリアではいちばん大きい水槽です。今回はこの大きな水槽内を悠々と泳ぐ大きな魚、カンムリベラを紹介します!


 カンムリベラは日本では相模湾以南で見られる全長1メートルを超えるベラのなかまです。水槽内の個体は全長45センチほどで、頭が前に張り出し、いつも口が少し開いて小さな歯が3本見え、とても愛嬌のある風貌をしています。また、ときどき口を伸ばしてあくびのような動きをしたり、急にはやく泳いだり、動きの多いおもしろい魚です。

 まず注目していただきたいのは、えさの時間のようすです。水族園では、水槽の魚に与えるえさだけではカンムリベラが痩せてしまうため、ピンセットで直接給餌しています。カンムリベラも学習し、えさの時間に飼育係が水槽に近づくと、水面に上がってきてスタンバイしています。

 ただし、水槽に入ってきたものはなんでも食べられると思っているようで、先日ゴミを拾うために水槽に指を入れたところ、飼育係としては恥ずかしいことにカンムリベラにかじられてしまいました。すぐ離れたので大きな傷にはなりませんでしたが、かじられた痕が1か月ほど残り、魚の歯の鋭さを実感しました。

 そしてもう一つ注目していただきたいのは「寝姿」です。ベラのなかまは砂の中に潜って寝ることが知られています。カンムリベラも閉園時間が近づくと、砂の上をくるくると回り、寝場所を探し始めます。いい場所が見つかると砂の上に横向きになり、頭と尾鰭を交互にばたばたと動かして砂に潜ります。


どこに潜っているでしょう?

 全身が砂に隠れると、最後に口から水を吐き出し、口のまわりの砂をよけます。一見どこに隠れたかまったくわからないほど綺麗に砂に潜りますが、見つけるコツは、一か所だけ砂がよけられていて、緑色の口が見えている場所を探すことです。17時を過ぎて砂に潜ることが多いため、通常の開園時間ではなかなか観察できないかもしれませんが、ぜひカンムリベラに注目して観察してみてください!

〔葛西臨海水族園飼育展示係 太田智優〕

(2017年10月13日)


ページトップへ