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「キャットウォーク」から見えるもの──バケツの中身編
 └─2018/10/12

 前回の記事に引き続き、葛西臨海水族園の「キャットウォーク」から見えるものを紹介します。今度は何が見えるでしょうか。

・「『キャットウォーク』から見えるもの──飼育係の道具編

 バケツを持って歩いている飼育係。気になるバケツの中身は魚たちのえさです。アサリやサクラエビ、アジにイカなど、さまざまな種類のえさが入っています。水族園で利用するえさは合計約30種類にものぼります。種類もたくさんありますが、えさの大きさもさまざまです。体長15センチくらいある丸ごとの魚から数ミリの大きさに細かく切ったえさまで、与える魚の口の大きさに合わせて用意します。

水族園で利用するえさ。種類も大きさもさまざま

 バケツの中に少し異色な緑色のもの。これはいったい何でしょう? じつは水族園では小松菜もえさとして使用しています。小松菜が束ねられ、水槽内に吊るされているのを見て驚く来園者の方がたくさんいます。たしかに海に小松菜は生えていません。この小松菜は、海では海藻などをおもに食べている魚のために与えているのです。きちんとゆがいてやわらかくなった小松菜を水槽に吊るすと、魚はすぐに集まってきます。

小松菜
小松菜を水槽内に吊して与える
ゴカイ

 えさの価格や品質も大切な条件です。生き物に与えるえさは品質が悪いと思われがちですが、水族園で使用しているえさは人間も食べられるくらい新鮮なものを使用しています。また、一年を通じて常に安定して購入できることも大切な条件です。

 一方、人間が口にしないようなえさも用意しています。たとえばゴカイ。ニョロニョロしている姿はミミズにゴカイされそうですが、海にいる生き物です。釣りえさとして利用されるので、ご存知の方も多いでしょう。魚が実際に食べているものに近い、生きているゴカイをそのまま与えると、魚もよく反応します。

 さて、これらのえさをどのようにして魚に与えているのでしょう。それは次回、「キャットウォーク」から見えるもの──えさの与え方編としてお伝えします。待ちきれない方はぜひ直接「キャットウォーク」にお越しください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 鈴木佐知子〕

(2018年10月12日)


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