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「キャットウォーク」から見えるもの──飼育係の道具編
 └─2018/06/29

 葛西臨海水族園の「東京の海」エリアにある階段をのぼっていくと、階下とはまったく違う光景が広がります。足元に並ぶ大小さまざまな水槽の水面。展示の裏側を走る数々のパイプ。そしていつもとは違う角度から見える魚たち。

 ここは、水族園の裏側を見ることのできる上部通路です。高所に設置される作業用の細い通路と同じく「キャットウォーク」とも呼ばれています。猫は歩いていませんが、私たち飼育係が作業のためにここを歩いていることがあります。来園者との距離が近いので、作業中に「何してるのー?」と声をかけられることもよくあります。

 飼育係の仕事といえば生き物にえさを与えるイメージが強いかもしれませんが、飼育係の仕事はそれだけではありません。来園者の方もキャットウォークに立つと、飼育係の日々のさまざまな仕事が見えてきます。今回はそんな仕事に使う大切な道具の一部をご紹介しましょう。

 開園直後の「東京の海」エリアで水槽の前に立つと、水槽内に長い棒のような不思議な物が見えるかもしれません。キャットウォークにあがってみると、飼育係がその不思議な道具を手に作業中。今にも落ちてしまいそうな格好で水槽の縁に立ち、魚を驚かさないように器用に水槽の掃除をしているところです。



 不思議な道具のほとんどは、市販されていない飼育係の手作りです。ガラス用、アクリル用、壁用、落ちにくい汚れ用、細かい部分の汚れ用など、水槽を傷つけないように、また、汚れの種類にあわせて専用の道具を自作しています。

 掃除道具のほかにも魚を捕まえるためのタモ網も、さまざまな形状のものをキャットウォークから見ることができます。ときには来園者の落とし物を水槽からすくい上げるためにタモ網を使うこともあります。上から水槽を見るときは、おとなの方もお子さんも夢中になって身を乗り出してしまうので、胸ポケットの中のものや帽子の落下にはくれぐれもご注意くださいね。

 「東京の海」のフロアから階段をのぼった先には、たくさんの楽しみ方が広がっています。次回はまた違った視点でご紹介します。ご期待ください!

〔葛西臨海水族園飼育展示係 鈴木佐知子〕

(2018年06月29日)


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