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エキセントリックサンドダラーを見せる工夫
 └─2018/06/08

 「ウニ」と聞くと、長いトゲがびっしりと生えた「いがぐり」をイメージしがちですが、じつはウニのなかまはさまざまな姿をしています。また、生活をする場所も、海藻の繁茂した藻場だけではありません。

 葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「カリフォルニア沿岸」水槽で展示しているエキセントリックサンドダラーは、円盤のような形をしたウニのなかまです。水槽の中で、えさの匂いがすると砂の中からゆっくり出てきて斜めに立ちあがり、体にびっしり生えた短いトゲを使って、水中に漂う小さなえさを捕らえて食べます。そのようすを以前、こちらの記事で動画とともにご紹介しました。


 ふだんはえさの匂いがするまで砂の中に潜っていることが多いエキセントリックサンドダラーですが、じつは姿を見てもらいやすいように、ある工夫をしています。

エビやゴカイをミキサーでジュースのようにしたもの
パイプにスポイトを取り付けた道具

 その工夫とは、長いパイプにスポイトを取り付けたお手製の道具を使って、エキセントリックサンドダラーが潜っている砂の上から直接えさを吹きかけることです。匂いが感じ取られやすいよう、えさはエビやゴカイをミキサーで「ジュース」のようにしたもので、実際に野生のエキセントリックサンドダラーが食べている有機物に似ています。その結果、動きが活発になり、砂の中から出てきては斜めに立ちあがります。

 エキセントリックサンドダラー以外にも、葛西臨海水族園では興味深い生態をもつ生き物をたくさん飼育しています。その魅力的な姿を水槽内で再現し、生き物の本来の姿を見せるためにわれわれ飼育スタッフはさまざまな試行錯誤をおこなっています。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 柳下悠〕

(2018年06月07日)


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