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魚たちの脱皮事情:オニダルマオコゼとペスチャンチョ
 └─2017/10/20

 みなさんは「脱皮」と聞いてどんな生き物を思い浮かべますか? エビやカニなどの甲殻類? それともヘビなどの爬虫類でしょうか? あまり聞いたことがないかもしれませんが、じつは脱皮をする魚も知られています。葛西臨海水族園「世界の海」エリアで最近脱皮した2種類の魚を紹介しょう。


脱皮中のオニダルマオコゼ

 まず、「モーリシャス」水槽で展示中のオニダルマオコゼです。岩のような姿形をしているこの魚は、じっと動かずに待ち伏せして顔の真上を通る生物を一瞬で丸のみにします。あまりにも動かないその体をよく見ると、体中にコケが付着しています。そのおかげもあってか、水槽に入っている岩とそっくりです。

 ある日、水槽の中に白いモヤモヤとしたごみのようなものがたくさん舞っていました。これはじつはオニダルマオコゼの体から剥がれ落ちた古い表皮なのです。近くで見るとまさに脱皮の真っ最中。剥がれかけの表皮が確認できました。

 もう一種は「チリ沿岸」水槽で展示中のペスチャンチョです。ペスチャンチョとはスペイン語で「豚のような魚」という意味です。細く伸びた口を見れば豚の鼻を連想するかもしれません。

脱皮前のペスチャンチョ
脱皮後のペスチャンチョ

 ふだん岩やフジツボのなかま「ピコロコ」の殻の間でじっとしていることが多く、オニダルマオコゼと同様、体にコケが着いてしまうようです。水槽で展示している3尾のうち2尾は最近脱皮し、白い体に黒い模様がよく見えるようになりました。残りの1尾は体の模様が隠れてしまうほど、茶色いコケが体中に着いているので、脱皮前と脱皮後を見くらべやすい状態です。

 「世界の海」エリアには脱皮する魚としてオニダルマオコゼやペスチャンチョ以外にも、ワーティプラウフィッシュがいます。水槽の中に落ちている破片のようなものや舞っているモヤモヤに注目すると、魚たちの脱皮の痕跡が見つかるかもしれません。

・関連記事「脱皮する魚ワーティプラウフィッシュ」(2009年7月31日)

〔葛西臨海水族園飼育展示係 石神まゆか〕

(2017年10月20日)


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