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チリ・プエルトモンでの採集その2「生物を輸送する」
 └─2014/12/19

 チリ・プエルトモンの冷たい海での潜水採集も無事に終え、私たちの海外採集もいよいよ終盤を迎えました(前回のレポートはこちらです)。



 海外で採集した生物を日本まで輸送するには、クリアしなければならない問題がたくさんあります。

 まず輸送方法です。海の生物を運ぶには海水が必要です。日本までの輸送時間が長くなると、生物によってそれだけ容器内の海水が汚れますし、酸素も消費します。しかし、海水を多く入れてしまうと重くなり、費用もかかりますし、運びにくくなります。

 そこで、生物の大きさ、種類、数から厳密に計算するとともに、過去のデータなども参考にして1尾あたりに必要な海水量を割り出します。さらに、訪問した国で定められた法律に従って輸出許可も受けなければなりません。今回、申請にあたっては、水産局の検査官による事前の生物チェックがあり、輸出許可をとることができました。



 生物はプエルトモン空港から飛行機で2時間ほどかけて、国際線のあるサンチャゴ空港まで運びますが、国際線の飛行機に積み替えるには少々時間がかかります。また、チリの季節は日本の逆、今は夏です。東京のような厳しい暑さなので、一旦空港の貨物用大型冷蔵倉庫に生物を入れさせてもらいます。そこで汚れた海水を交換し、国際線の飛行機に積み込んで、東京へ送り出すのです。

 このように採集と輸送がスムーズにおこなえるのは、ひとえに現地の協力者の支えがあってこそです。チリでは日系人をはじめとした現地の方々に潜水採集の調整や協力をしていただいたほか、蓄養設備もチリ国内の大学や養殖業者などからお借りしました。葛西臨海水族園の「世界の海」の展示はこのようにして作られています。

〔葛西臨海水族園調査係 中村浩司〕

(2014年12月19日)


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