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変幻自在に形を変えるゴンズイ玉の展示
 └─2014/09/12

 葛西臨海水族園東京の海エリアの2階には、小さな生き物をさまざまなテーマで観察してもらうための小型水槽がいくつかあります。

 その中の一つにアマモ場にくらす生き物たちの水槽があります。ここにはタツノオトシゴなどヨウジウオのなかまや、ミドリ色の体色がアマモの葉にまぎれ探すのに少し根気がいるツノモエビなどのエビのなかまが入っています。

 今回この水槽に水族園で繁殖したゴンズイの幼魚を展示しました。

 2014年6月5日、「しおだまり」の毒のある生物を展示している水槽で卵を確認、その後6月10日に孵化し、バックヤードで育てた約30匹の子どもたちです。

 ゴンズイは海にくらすナマズのなかまで、体には毒々しくも見える特徴的なしま模様があり、口の周りには餌のにおいを感じることのできる8本のひげをもっています。魚釣りの外道(目的以外の魚)として釣ったことのある方もいらっしゃるかと思います。ゴンズイは胸びれと背びれに毒のある鋭い棘があり、刺されると激しく痛みます。この毒は死んでも残っていますので、防波堤の上で釣り上げられて動かないゴンズイを見つけても、手で触らないほうが無難です。

 水槽の中でゴンズイたちは、お互いに身を寄せ合うようにして密集した群れを作り、これは「ゴンズイ玉」と呼ばれています。この群れは、長く伸びたり急に集合したり、右に行ったり左に来たりと絶えず形が変わり、見ていて飽きず、時間の経つのを忘れてしまうほどです。

 群れを作る理由としては、外敵から身を守るためと考えられています。同じような大きさや形の魚が群れていると、1匹に食べようと狙いをつけにくいのではないかと思われます。実際ゴンズイ玉の1匹を目で追っていると、何かに驚いて急な泳ぎをした時など群れにまぎれてしまい、見失ってしまうこともあります。

 水槽では餌をよく食べ元気に育つゴンズイたちですが、成魚になると今のような密集したゴンズイ玉を作らなくなりますので、この機会にぜひごらんください。

・関連ニュース「ふしぎな玉、ゴンズイ玉」(2004年05月14日)

写真:ゴンズイの幼魚たち

〔葛西臨海水族園飼育展示係 笹沼伸一〕

(2014年09月12日)



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