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世界初!血液の透明な魚「コオリウオ」が水槽で産卵
 └─2013/01/18

 葛西臨海水族園で飼育しているオセレイテッドアイスフィッシュ(ジャノメコオリウオ)が、2013年1月12日(土)午後11時13分、産卵しました! コオリウオは南極周辺でくらす魚。コオリウオ類を展示している水族館は、世界でも葛西臨海水族園以外にはなく、しかも、水槽で自然産卵が観察されたのは、世界初です。

 コオリウオ科の魚は、16種が知られていますが、そのうち13種が南極半島周辺に生息しています。ウロコをもっていないのも特徴の一つですが、最大の特徴は、血液が透明なことです。脊椎動物は赤血球にヘモグロビンをもつので、血も赤色をしていますが、コオリウオにはヘモグロビンがなく、その結果、血が無色透明です。また、多くの魚のエラは赤色やピンク色ですが、コオリウオは血が透明のため、のエラはクリーム色をしています。

・これまでのニュース(

◎産卵までの経緯

 2011年、日本水産株式会社が南極周辺でナンキョクオキアミ操業をおこなった際、一緒にオセレイテッドアイスフィッシュ(ジャノメコオリウオ)が採集されました。オセレイテッドアイスフィッシュ成魚の全長は約55センチ。2011年8月19日、葛西臨海水族園に2個体を搬入。性別は不明でしたが、1個体を8月24日から公開しました。

 2012年1月ごろ、展示個体の腹部が大きくなってきたのを確認。卵巣が発達し始めたようです(つまり、展示個体はメスでした)。

 一方、予備水槽の個体は体色の変化から見てオスと思われたため、2012年5月末から数回、展示水槽で2個体をいっしょにさせました。しかし、緊張した関係が見られたため、同居を中止。

 12月5日、メスを予備水槽に移し、オスを展示水槽に出したところ、オスは水槽の底の砂を尾びれで掘り、巣穴をつくる行動が頻繁に観察されました。

 12月末、オスの体の一部が黒く変化。繁殖期に現れる「婚姻色」のようです。ここにメスを同居させたところ、オスがメスに寄り添いながら泳いだり、2個体が回転しながら泳いだりする行動が見られました。産卵が近いと判断し、夜はビデオカメラで行動を記録しました。

 そして、2013年1月13日朝、水槽内に卵を発見! ビデオを確認したところ、1月12日午後11時13分に産卵があったことがわかりました。

 オスを予備水槽へ取り出した後、メスはすり鉢状の巣穴の中心で卵を保護しています。なお、卵の一部を水槽から取り出して検査をしていましたが、1月16日、受精卵だと確認できました。また、水槽から取り出した卵は、試験的に育成を試みています。

 展示場所は、「世界の海」エリアにある「南極海2」水槽です。今後の変化にご注目ください!

写真上:卵を守るジャノメコウリウオ
    (2013年01月14日撮影)
写真下:公開して約3か月後のジャノメコウリウオ
    (2011年11月15日)

(2013年01月18日)



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