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続・新たな視点で見てみると(39)貪欲に食べる「ヤコウチュウ その2」
 └─2012/05/18

 1年前の「続・新たな視点で見てみると(26)」でお伝えした、発光プランクトンの「ヤコウチュウ」ですが、今も葛西臨海水族園の裏のスペースで飼育中です。

「続・新たな視点で見てみると(26)」(2011年05月27日)

 1リットルのプラスチック容器2本で細々と維持しているので、お硬く「飼育」と言うよりも「飼っている」と言った方が合っている気がします。

 ヤコウチュウに近いなかまの中には、体内に葉緑体をもっている種類もいて、それらは光を浴びることによって栄養を作り出すことができるのですが、ヤコウチュウは葉緑体をもっていないので、餌を食べることで成長しています。水族園で飼っているヤコウチュウには、主にシオミズツボワムシという小さなプランクトンを与えていますが、自然の海ではいろいろなものを食べているようです。

 そこで試しに、展示水槽で採れた卵から孵化した小さな仔魚を与えてみました。小さな仔魚といっても、体の長さは1.5ミリほどあります。直径が0.5〜1ミリしかないヤコウチュウが食べるには、大きすぎるかと思いましたが、顕微鏡をのぞいて見えてきた光景は驚きでした。

ヤコウチュウの摂餌動画

  
 ユラユラ動かしている触手で仔魚を捕えたヤコウチュウは、触手の根元近くにある口からゆっくりと仔魚を飲み込んでいきました。40分ほどかけて仔魚を丸ごと飲み込んだときには体が一回り大きくなり、形も大きく歪んでいましたが、不思議なことに、その1時間後には元のように丸い形に戻っていました。

 小さなヤコウチュウが見せた驚きの食事のようすですが、次回の「続・新たな視点」では、このヤコウチュウが「華麗に光る」すがたをお伝えする予定です。

写真上:ヤコウチュウ飼育のようす
写真中上:仔魚(約1.5ミリ)を捕らえたヤコウチュウ(約0.7ミリ)
写真中下:半分ほど仔魚を飲み込んでいる
写真下:約1時間後、大きく膨らみ形が歪んでいる

〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕

(2012年05月18日)



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