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続・新たな視点で見てみると(34)
 トビハゼの巣穴掘り「空気をパクッ」
 └─2011/11/04

 前回に引き続き、2008年7月に葛西臨海水族園のすぐ側にある人工干潟「東なぎさ」でおこなった、トビハゼの調査で撮影した映像をご紹介します。

・前回の記事「続・新たな視点で見てみると(33)」

 前回のビデオの中で巣穴を掘っていたトビハゼですが、巣穴が掘り進んできたときに、面白い行動が見られるようになりました。掘っている巣穴の中から口にくわえて来た泥を「ペッ!」と吐き出した後に、空中で口をパクッと開ける動作をするのです。まるで空気を食べているようで、「パクッ」とした後は、ほっぺが膨らんでいるかのようにエラぶたが膨らんで見えます。口いっぱいに空気をほおばったら、そのまま水が張っている巣穴の中に飛び込んで行きます。

 トビハゼが繁殖のために作る巣穴の先端は、「J」の字型のように泥の中で上を向いていて、この部分に空気を溜めるといわれています。卵はこの空気室の天井に産み付けられ、空気中で発生が進むそうです。今回のビデオに撮られた行動は、この部屋に空気を運んでいる行動なのではないかと思います。

【トビハゼの巣穴掘り動画その2】

 人工的に作られた「東なぎさ」で繰り広げられるトビハゼの自然な営み。7月の干潟はとても暑かったのですが、そこにくらすトビハゼは熱く活動していました。次回の「新たな視点」は、トビハゼとヤマトオサガニの熱血バトルをお送りします。

※「東なぎさ」は生物保護のため、ふだんは人の立ち入りが禁止されています。

写真上:空気をほおばるトビハゼ
写真下:水面でも空気を吸い込む

〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕

(2011年11月04日)



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