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井の頭池にやってきたカモたち(ヒドリガモ)
 └─ 2022/11/29
 秋も深まり、井の頭恩賜公園の紅葉は見ごろを迎えています。公園内の井の頭池には冬鳥のカモたちが北の国から続々と飛来し、にぎやかになりつつあります。

 そこで今回は、井の頭池のカモにまつわるお話を2回にわたってご紹介します。最初は、9月末に井の頭池に最初にやってきた3羽のヒドリガモのお話です。


最初にやってきたヒドリガモ3羽

 見た目は地味な羽色の3羽は、一見するとすべてメスのように見えました。しかし、よく羽色を観察すると、メスのなかにオスが1羽混ざっていることがわかりました。

 多くのカモが飛来当初はオスも地味な羽色をしており、これを「エクリプス」と呼んでいます。ヒドリガモのオスの「エクリプス」は、飛翔時の翼の一部に白い部分が目立つのが特徴的で、翼を閉じているときにも体の側面に白い部分が見えるので、メスと見分けることができます。

エクリプスのオス
メス
(撮影日:2022年9月28日)

 飼育下では野生下と環境条件が異なるためか、この時期の水生物園のヒドリガモは、すでに「繁殖羽」と呼ばれる繁殖期特有の羽に生え変わっていました。


「繁殖羽」のオス

 そして、これからの冬はカモたちの恋の季節です。オスたちは結婚相手を求めて、おしゃれな羽色に衣替えをします。オスはメスに対して、美しい羽をさらに目立たせようとしているのか、派手に水浴びをして見せたり、笛を吹くような音で鳴いたり、メスの気をひこうと必死です。

 というのも、カモは毎年つがいの相手を変えるので、春を迎えるまでに新しいパートナーを見つけなればならないのです。一方、オスが非繁殖期に目立たない羽色をしているのは、天敵などに見つからずに済むようにしているのかもしれません。

 現在の水生物園では、ヒドリガモをはじめ、11種類のカモのなかまを飼育し、繁殖にも積極的に取り組んでいます。オスがエクリプスから美しい羽色に変化するようすや幼鳥から成鳥への成長過程を近くでじっくりと観察することができます。また、オスからメスへのラブコールもいまだけのお楽しみです。お散歩の合間にぜひお立ち寄りください。

 次回は、ヒドリガモの賢い採食方法についてご紹介します(第2回はこちら)。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 下川優紀〕

(2022年11月29日)
(2022年12月12日:第2回について追記)



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