ニュース
続々・新たな視点で見てみると[11]──茶色のアメザリとは違います:特設展でニホンザリガニを展示
 └─2018/02/23

 井の頭自然文化園水生物館では、特設展「私たちにできること アメリカザリガニは放さない」を開催中ですが、2018年1月30日、昔から日本にくらしていた在来種ニホンザリガニの展示を始めました。

 ただ「ザリガニ」と言った場合、90年ほど前に北アメリカから連れて来られ、今や日本全国の水辺でよく見られるアメリカザリガニのことを指しているのがふつうだと思います。しかし、北海道や東北北部にはもともと日本固有種のニホンザリガニが生息しています。高い水温が苦手なため、夏でも水温が20℃を大きく超えないような場所でしかくらせません。森の中の小さな流れや冷たい湧き水がある湖などがおもな生息地ですが、開発や外来種の影響などで数が減ってしまい、環境省のレッドリストでは絶滅危惧II類に指定されています。


ニホンザリガニ。体は渋い茶色、頭の先から伸ばした尾までは最大でも8センチほど

 関東あたりでは大きく育ったオスのアメリカザリガニのことを「まっかちん」と呼ぶことがあり、アメリカザリガニというと赤い体色が特徴ですが、若い小さな個体などは赤みがないことも少なくありません。

 そこで今回の動画では、ニホンザリガニといっしょに、体色に赤みの少ない同じくらいの大きさの若いアメリカザリガニを撮影してみました。


【動画】知っていれば間違えることはないが、赤みのないアメリカ
ザリガニがニホンザリガニだと誤解されることもある

 水生物館では冷凍アカムシなどの動物性のえさを与えることが多いのですが、自然の中でニホンザリガニは、流れてきた落ち葉や水底につもった小枝など、植物性のものをおもに食べているようです。動画を撮影したときも、背景に使った苔の生えた樹皮をちぎって食べていました。

※今回展示しているニホンザリガニは「サケのふるさと 千歳水族館」からお借りしました。水生物館の特設展示「私たちにできること アメリカザリガニは放さない」で期間限定で展示します。特設展示についてはこちらのお知らせをごらんください。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 三森亮介〕

(2018年02月23日)


ページトップへ